ユダヤ人迫害の嵐が吹き荒れた第二次大戦時代のヨーロッパに、懸命に生きたユダヤ人の子ども達と彼らを命をかけて守った人々がいた。子ども達を寄宿舎に住まわせ、町z全体で守り通したモアサックの誠意ある人々を描くノンフィクション。 石岡史子 訳。
(キャシー・ケイサー)カナダ在住。ユダヤ人の子どもたちを主人公にした物語やノンフィクションを手がけ数々を受賞。著書に 『ちいさな命がくれた勇気』 。
(石岡史子)日本のNPO 法人、ホロコースト教育資料センター所属。2000年に同センターで展示したホロコーストの遺品のカバンが 『ハンナのかばん』 として、日本やカナダで子ども向け放送や読み物が作られ話題を呼んだ。石岡とハンナの兄ジョージの協力のもとにカレン・レヴィンが書いた 『ハンナのスーツケース』 はベストセラーとなる。
ホロコーストの現実を、かくまわれるユダヤ人の側から正直に描いた作品。たった11才の少女が両親、最も親しい存在であった姉、幼い弟と別れ、生き延びるために周囲に順応しようと努力し続けた記録が、誇張されることなく描かれています。
エーディトが
『生き続けたい!』 と心の中で叫ぶシーンが印象的です。小学生以上向けに書かれた作品のため、分かりやすく読みやすいのもいいです。アンネ・フランク、ハンナ(
『ハンナのかばん』 )そしてエーディトの物語は、どれも後世に伝えなくてはならない物語です。
モアサックの人々は、ただ
『人が人を良心に従い助ける』 という当たり前のことを、信念を貫いて行動に移しただけ、と言います。ホロコーストは誰もが忘れ去りたい人類の汚点ですが、その一方でこうした時代に真のヒューマニズムを発揮し行動に移していた人々が存在していたこと、人は自ら
【正しい道も選ぶことができる】 、という事実をかみしめて、この物語を子ども達へ伝えなくては、と思いました。
評価:




(5つ満点)
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