18世紀爛熟の時を迎えた水の都ヴェネツィア。『四季』 の作曲家ヴィヴァルディは孤児たちを養育するピエタ慈善院で 『合奏・合唱の娘たち』 を指導していた。ある日ピエタで育った教え子の1人、エミーリアのもとにヴィヴァルディの訃報が届く。
(大島真寿美)1962年愛知県生まれ。南山短期大学卒業。『春の手品師』 で文学界新人賞受賞。主な著書に 『ビターシュガー』 『三人姉妹』 など。
巷ですっごく評判が高い本作ですが、私にはあんまり響かなかったかな。主人公エミーリアの気持ちに最後まで入り込めず、ずっと傍観者だったのでエミーリアが悩むピエタ慈善院の困窮ぶりとか、ピエタに捨てられた子どもだった私、という心許なさ、ピエタへの愛着、すべてあんまり伝わらなかった。なんだかキレイ過ぎる感じ。
貪欲であったのはヴィヴァルディ先生だけで、後の登場人物らは冷めているというかイマイチ情熱に足りない感じ。設定も人物らもそれぞれに趣向をこらしてあるのですが、共感も同情もできず、イマイチ楽しめませんでした。残念。
評価:(5つ満点)