中学校へ行けないまいはイギリス人の祖母のもとで暮らし始める。祖母は本物の 『魔女』 でまいは 『魔女修行』 をすることになった。それは何でも自分で決めるということ。児童文学者協会新人賞受賞作の児童文学。
本作は前々から読もう、と思っていたのですが、魔女であるおばあちゃんは日本人だと思っていたらイギリス人というお話でした。なんだ…。イギリスには今も魔女がいるそうですね、世界不思議発見で見ました。魔女は近所の皆さんの悩みや相談を聞いたり占いをしたりするそうです。日本のイタコのような存在でしょうかね。
冒頭まいは中学校へ通えなくなるのですが、ママが単身赴任中のパパへ電話するのを聞き
『ママはもう自分(まい)に誇りが持てなくなった』 と激しく苦しみます。親として胸に来る言葉です。親というものは本当に勝手なもので、子どもに対する期待はどうしてもある程度してしまうものです。そしてその期待が多かれ少なかれ裏切られると、落ち込みを感じてしまう。この前のあゆみがいい例ですな。そして子どもは敏感ですからその親の嘆きにまた、嘆いてしまうのです。
そんなまいにとっておばあちゃんは
『大好き』 な存在。ママやパパには言えなくてもおばあちゃんには
『おばあちゃん大好き』 と直接言えます。その度におばあちゃんは大きくうなづいて
『アイ、ノウ』 と答えてくれる。この関係の描き方がいいですね。
死んだら魂はどうなるのか。魔女であるおばあちゃんはいつも的確に答えてくれます。大人として子どもにどう接するべきかを考えさせられる、美しい小説です。
評価:




(5つ満点)
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