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天使の代理人*山田宗樹

img20050821.jpg生命を誕生させるはずの分娩室で行われて来た後期妊娠中絶の事実。数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・冬子は、息を引き取る寸前の胎児の目に映った己の顔を見て、この恐ろしい現実を世に訴えることを決意する。中絶という重いテーマについて、様々な立場にある中絶体験者予定者やそれを目の当たりにしてきた助産師の想い・活動を軸として、世に問う衝撃作。

ダ・ヴィンチの2ページ記事を見て読んでみようと思ったのですが、読了感はどうも…。1人称が複数であったり時間軸が前後する作品は読みづらいものが多い中、これは大変よく出来ており違和感を感じさせないのですが、中絶手術の場面や最期の冬子の独り語りの箇所はだーっと涙は出るものの、出た後ですら、何で泣いたんだろう?と思ってしまうような、あまり心にひっかかる部分が足りないような気持ちになるのが気になった作品でした。

どうもインパクトを与えることに焦点を絞って書かれた作品のように感じてしまいます。テーマとしてはかなり興味深く、人物設定もよくできていると思います。様々な立場の助産婦が後期妊娠中絶の現実に立ち向かおうと行動を起こすくだりや、中絶を希望した人、出産希望であったにも関わらず医療ミスで中絶となってしまった人、精子バンクで妊娠し出生前診断で希望の男児でなかったため中絶しようとしている人、がインターネット掲示板で出会い会話を交わすことにより、それぞれ影響し合って行く、などのくだりは自然な流れでの問題提起ができていると思います。中絶の医療ミスもあるのか!ということが何も知らなかった私にはショックでした。

途中、 『中絶する権利』 がジェンダー論に及ぶ箇所がありますが、ここはちょっと不明瞭かな。女性である私にとっても 『中絶する権利』 というのはどうもしっくり来ないですね。
また、初期妊娠中絶は割と簡単にできる(手続きも費用の面も)ということもこれまたショックでした。中絶について、男性にももちろん知っておいて頂きたいことはでありますが、まずは妊娠する当事者である女性は中絶に対する自分自身の考えはしっかりと持っておきたいものですね。

以前何かの記事で読みましたが、日本の中絶手術の大半は既婚女性による、夫との子どもの中絶だそうです。この記事を読んだ時はかなりの衝撃でした。色々な事情があるとは思うのですが、これほど愚かなこともないかと思います。

『セカチュー』 的要素を感じる作品ですが、問題提議という点では評価できるかと思います。オススメ!とは言い切れませんがご一読はおすすめします。

評価:(5つ満点)
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1972/02/16
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