また最近の風潮として 『本ならばなんでもいいからたくさん』 という大きな害がある。上に挙げた変な主人公が…から始まり、人気のある本がいい本、として学校図書館で紹介されているが、果たしてそうなのか?
小学生向けの伝記などは表面的でうさんくさい教訓話と化してしまっている。そんな貧しい本に囲まれていて、果たして想像力が育つのか?
あてぶいがちの映像や音響よりも、自分の想像力で思い描いた世界の方がずっと面白いはず。また想像力が人間に不可欠なのは、それがコミュニケーションに必要不可欠なものだからだ。コミュニケーションには基本的な想像力が不可欠である。こういうことを言ったら相手はどう思うだろうか、と考えながら会話をするのは、想像力を駆使しなければできないことである。
またブックトークについても辛辣なご意見。
何冊かの本をまとめて紹介する 『ブックトーク』 というやり方もありますが、これはうっかりするとテーマに沿って本を選ぶために、本そのものの善し悪しが二の次になったり、ある本の話題から次の本の話題へと巧みにつなぐ技の方に重点が置かれたりして、一冊一冊の本を子ども達に届ける手段としては、必ずしも適切ではないようです。
とのこと。…ブックトークの勉強をしている私達には、実に深いお言葉です!…反省の連続であります。
本を読むこと、それはメタ認知能力を育てる、ということなのだ。
メタ認知…なんだそれは。自分の頭の中で進行していることを一段上から観察し、制御するモニター力のこと。自己コントロールに必須の能力。
読書がメタ認知能力を育てる、のはなぜか。本の登場人物になりきりつつ、物語を俯瞰的に捉える力、それが読書力だからである。
ここまで読んで、なんと理論的に読書の意味を説いてくれたものか、と感動しました。そうか読書はそういうことだったのか。主人公になりきりつつも、物語全体を俯瞰的に捉えなければ物語全体を理解することはできない。では一応本読みの端くれである私にも、このメタ認知能力が備わっているということか、と思ったのですが、それはどうなのか?
物事を俯瞰的に見られるか?ひいては自己コントロールが上手くできているか?…答えは、Noであります。物事を俯瞰的、客観的に見るのが、何よりも苦手なのです。まして自分の気持ちを客観的に捉える、自己コントロールするなんて。
おっかしいなぁ、これまで本を読み続けてきたはずなのになぜ育たない私のメタ認知力?(笑)
メタ認知力について、ゲームと本の違いについて書かれています。
ゲームをしていて思い通りにならない場合、プレイヤーは壁をなぐったり時にはゲーム機を壊したりしますが、『宝島』 などの本を読んでいて意に反する展開になったとしても本を投げたりなぐったりはしない。それが、メタ認知力である。
…なるほど。私は本もゲームもするので非常によく分かる。確かにそうです。
子ども達にとってどちらが有益か、言うまでもありません。脇先生の一言ひとことは厳しい口調ですが、分かりやすく納得できる、そして何より本を読み続けていて、子ども達に読ませ続けていていいのだ、それが間違っていないのだと、自信を持って言うことが、この本を通じて言えるようになります。嬉しいことですね。