葉山の高台にある別荘で幼い日をともに過ごした貴子と永遠子。ある夏、突然断ち切られたふたりの親密な時間が25年後の別荘の解体を前にしてふたたび流れ始める。『新潮』 掲載を単行本化。芥川賞受賞。
(朝吹真理子)1984年東京都生まれ。慶應義塾大学博士課程前期在籍中(近世歌舞伎)。本作で芥川賞、『流跡』 でドゥマゴ文学賞を受賞。
実に爽やかな一冊。きこととわこは仲が悪いのかと思っていたら全然違ってて仲良しだった。しかも歳が結構離れていた。お金持ちのお嬢さまと別荘番の娘の話、というありきたりな関係ながら2人の関係は簡単に言い表せない、不思議な縁で結ばれていた。
長年会っていない人でも、こうして心が通じる時があるのだ、ということ。別荘の解体を通じて懐かしい記憶に浸れただけでも、きこととわこは幸せだったのかもしれない。
しかーし、テーマは不明(笑)。そこが純文学。
評価:(5つ満点)