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ダークゾーン*貴志祐介

darkzone.jpg情報科学部の大学生で日本将棋連盟奨励会に属するプロ棋士の卵である塚田は、闇の中で覚醒する。自分は赤の王将だという意識と共に。そこは遺棄された海底炭坑の島、端島だった。人間が駒となり相手を殺すまで戦い続ける将棋に似たゲームを続ける中、塚田はこの勝負に至るまでの様々な出来事を思い起こし始める。なぜ塚田は突然軍艦島と呼ばれるこの端島にいるのか?なぜここで戦い続けているのか。小説NON』 連載に加筆し単行本化。
(貴志祐介)1959年大阪府生まれ。京都大学経済学部卒業。岸祐介名義で 『凍った嘴』 でハヤカワSFコンテスト佳作。『十三番目の人格-ISOLA』で日本ホラー小説大賞長編賞佳作、『黒い家』 で日本ホラー小説大賞、『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞長編賞、『新世界より』 で日本SF大賞、『悪の教典』 で山田風太郎賞を受賞。主な著書に 『青の炎』 『狐火の家』。


プロ棋士候補で大学生、同じくプロ囲碁棋士の恋人 理紗とは同棲中。そんな充実した生活をしていたはずの塚田が、なぜ突然異世界で目覚めたのか?そしてそこでなぜ殺し合いのゲームをしなければならないのか?塚田自身意味も分からないまま、ただ 『戦い続けなくてはならない』 という心の声に従い、戦い続ける。…この世界は、何?

合間に挟まれる、塚田の回想。大学生になった自分、奨励会でなかなかプロである四段に上がれない自分、既にプロである理紗への引け目、奨励会のライバル奥本、そしてなぜか自分をストーカーする梓。普通の世界での物語と、異世界である 『ダークゾーン』 での7番勝負が交互に進んで行きます。塚田も読者も一体何のためにこの異世界が存在し、そこに塚田や理紗、奥本らが存在し、そこでお互い敵として戦わなくてはならないのか、なかなか分からない。

そして終章。この【小説の禁じ手】を使ってまで作者が伝えたかったことは、一体なんだろう?とまず思ってしまいました。このラスト(オチ)で怒る読者もいるだろうということを分かっていながらもあえてこの手法を採った訳は。もう1回全体の伏線、見直しました。

そして、改めて塚田の人生の意味、生きるということの意味とは何だろう、と思ったのです。愛する人を守るとはどういうことか。理紗を思う気持ちに間違いはなくともあまりに身勝手な塚田の考え方には共感できないのですが、なぜか塚田を憎めないのです。

gunkanjima.jpgゲームの舞台となった軍艦島。私は特別廃墟マニアというわけではないのですが、結構気になる場所でした。今回一緒に 『軍艦島全景』 (オープロジェクト/三才ブックス)も見ながら建物の位置関係など逐一確認してしまいました。そういう意味で他の読者の方より楽しめたのでちょっと評価もひいき目です。ラストの賛否両論はさておきさすが貴志氏、ゲームのくだりは一気に読ませてくれました。

評価:(まさに小説の禁じ手!)
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1972/02/16
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