ドラゴン桜公式副読本 『16歳の教科書』 番外編 親が子どものためにできること
公立小学校で導入が進む英語教育は本当に役に立つのか? 中高一貫校は最良の選択肢なのか? 親たちが悩む答えの出にくい問題をめぐり14人の論客が真正面から本音で語る。モーニング編集部、朝日新聞社編。朝日新聞連載に加筆修正して単行本化。
(ドラゴン桜)三田紀房 作のマンガ。講談社モーニングにて連載を単行本化、全21巻完結。元暴走族の駆出し弁護士 桜木建二が、経営破綻状態となった落ちこぼれ高校 私立龍山高等学校を、一見奇抜とも思える方法で立ち直らせるストーリー。
マンガ 『ドラゴン桜』 は前々から読みたいと思ってはいたのですが、なかなかこういうマンガ持っている人にも出会えず、貸本屋(じゃなくてレンタルビデオ)にもないしマンガ喫茶に確実にあるなら行くけどないかもしれない…とここまで来て、なんと。第1王子の中学校では今年度の学年費で全巻買ったそうです。生徒に順番に読ませたとか…中学校の教育も変わったな。というか私も借りなきゃな。と思っていたところへ本書。
16歳の教科書、というのは文字通り中学を卒業した生徒に向けて書かれた本で、その番外編としてその親に贈る副読本。ドラゴン桜の前哨戦(借りる気満々)として読んでみました。
様々な分野で活躍している社会人のインタビューが載っています。実に多彩、デーブ・スペクター氏や西原理恵子氏、はたまた工藤公康氏といったTVに出てくる有名人の方々から、企業の社長さんまで。カウンセラーの方の箇所で【ポジティブ・プッシング】という考え方を教わりました。
評価:(5つ満点)
◆ポジティブ・プッシング
過去に何があっても未来の自分には関係ない、と言い切れる生き方を支える考え方。
1) わたしは愛されている!
2) わたしはできる!
3) 大事なのは挑戦すること!
4) 自分の行いに責任を持つ!
5) 失敗しても大丈夫!
6) 間違っても修正できる!
7) 自分のやっていることが楽しい!
8) わたしは変わることができる!
…と全部 『!』 と付いてるんですけど。その位の勢いでやっていけーということですね。
◆英語の早期教育は必要か
デーブスペクターさん始め皆さんの意見。子どもの英語力はバーター(物々交換)である。小さい頃から英語を身に付けさせることはできるがそれは代わりに何かを失うことになる、ということ。その何か、とはもちろん母国語で考える能力のことであります。
知性は母語でのみ磨かれる。その通りです。中途半端に英語、日本語を扱っていると本当に物事を深く考えなくてはならなくなった時、どちらも使い物になりません。だからまず大事なのは、考える能力を身に付けるため、母国語をしっかりと習得すること。当たり前なのですが何度もこういう文章を見るということはそれに気付いていない人が結構いるということか?
英語のニュアンスは米企業で上司に取り入ることで覚えろ。結局ネイティブスピーカーの言い回しとは上司へのごますりである。そういうのは実践で覚えるしかない。なるほどなるほど。
◆中学校受験は必要か
現代は極端な正解主義。受験に受かること、正答を出すことのみがまず求められる。耳が痛いです…その通りです。中学受験はほとんどが親の見栄である、とも。子どもにとっては落ちた時の親のフォローが何よりも大切。その通りですね、実際に受かる子がいれば落ちる子がいるのですから。受験は自分を成長させる絶好のチャンス。そこを乗り越えてこそ…第1王子よ…。環境の変化は自分を変えるきっかけになる。そこを乗り越えられる子どもにするには、親にも自覚が必要。うーん。
◆働いてお金を得るということ
誰かにお金をもらって生きていくのは乞食の生き方である。専業主婦だからと安住していて大丈夫か、と西原理恵子氏。ううう…その通りです。現代は金を巡る戦場である。親が貧乏のままでは子どもをそのまま戦場へ送りかねない。子どもを 『戦場』 に送り込まない。それが親に課せられた使命、お金を稼いで食べさせるということ。
こういうサイバラさんの発言を英語早期教育とか中学受験とかと同列に並べるのっていいですね。では最後に本書で一番印象に残った一言。
サイゼリヤ(外食チェーン)の社長 正垣氏の言葉。会社(ビジネス)を維持することは一番、継続可能な社会貢献である。その通りです!社会貢献(ボランティア)が叫ばれて久しいですが、誰しも自分の食い扶持を稼いでなければとても人のことまで考えられません。会社を経営し続けていくことこそ、一番社会に必要な社会貢献である。その通りです。
ドラゴン桜に全然関係なく、楽しめます。