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読書と映画と観劇と

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パラレルな世紀への跳躍*太田光

para.jpg人類は前進するという習性に逆らえない。例えそれが完全なるゼロに続く道であろうとも。新しい価値観を生み出す為に止まるのではなく思い切った跳躍をしよう。著者初の単独エッセイ。TVブロス連載を単行本化。
(太田光)1965年埼玉県生まれ。日本大学芸術学部中退。88年大学で知り合った田中裕二と漫才コンビ爆笑問題を結成。著書多数。

太田さんのエッセイは数多く出版されていますが、コレは1篇ずつがとても短くかつ的確で、とにかく面白かったです。それぞれのタイトルの付け方が秀逸すぎます。

エッセイに所々はさまれる超短編小説がこれまた、すごく巧い。三崎亜記の超短編小説を読んだ時も本当に文章が巧いと驚愕しましたが、それに匹敵しました。太田さん天才かと思う。初の長編小説が出版されたそうですが、これだけ書ければそりゃあ小説を書くでしょうね。読むのが楽しみです。

ほんの少しのスキマ時間で読み続けようと思っていたのに、あんまり面白くて一気に読んでしまいました、あ~あ(笑)。

評価:(5つ満点)

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読む力は生きる力*脇明子

yomutikaraha.jpg長年大学生を教え、子どもの本の会を主宰してきた著者が子どもが本を読むことの大切さをテーマに真正面から取り組み、たどりついた成果を講演のような柔らかい語り口で説く。子どもと子どもの本に関わる活動をするすべての方に。
(脇明子)1948年香川県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修了。ノートルダム清心女子大学教授、岡山子どもの本の会代表。主な著書に 『物語が生きる力を育てる』 『ファンタジーの秘密』 など。訳書多数。

やっと読了しました、必読本。なぜ人には本が必要か。を明確に、論じている一冊です。子どもと本に関わる活動をしている一人として、嫌でも姿勢を正したくなる一冊です。

脇先生はかなり辛口。のっけから今の子ども達が夢中になって読む本は、『変な主人公が、変な人達と出会い、変な出来事が起き、よく分からないうちに大団円。神経が麻痺してきそうな話だった』 と学生が話していた、とバッサリ。これってかいけつゾ●リシリーズのことですね(苦笑)。そんな 『変な』 続きの本ばかり読ませていていいのか、から始まります。

ブックスタートについてもなぜ始まったのかと言えば赤ちゃんに自分では話しかけられない親が増えているから!だそう。赤ちゃんは話せないからどう話しかけていいのか分からない、という最近の若い親のために、絵本を通じて赤ちゃんに話しかける方法を教えるのが、ブックスタート。そうだったのか…ブックスタートは赤ちゃんのため、というよりその親のため、親を育てるための活動だったのだ。

そして本を読む、という行為そのものについて数々の言及。物語を読めない、とは字は読めるのに物語(本)が読めない、ということ。それは想像力の欠如が原因である。想像力が育っていないため、字をなぞってその場面を思い浮かべることができないから本が読めない=物語の世界に入り込めない。

評価:(5つ満点)

禁猟区*乃南アサ

kinryoku.jpg警察内部の犯罪を追う監察官はあくまで陰の存在。隠密行動を貫いて警察内の密猟者を狩り出してゆく。監察チームの頭脳プレーを描く警察インテリジェンス小説。小説新潮掲載を単行本化。
(乃南アサ)1960年東京都生まれ。早稲田大学中退。広告代理店勤務等を経て作家活動に入る。『幸福な朝食』 で日本推理サスペンス大賞優秀作、『凍える牙』 で直木賞を受賞。主な著書に 『涙』 『鍵』 『しゃぼん玉』 など。
(収録作品)禁猟区/免疫力/秋霖/見つめないで

さすが乃南アサ、本当にハズレなしです。今回も秀逸でした。

警察官になる位なので誰しもそれなりの正義感を持っていたはずなのに、それがどこで間違ってしまったのか。独りよがり、自己顕示欲、そういったことから徐々に正道からズレていく警察官達。倫理とは何か、を常に自分に問うて生きて行かなくてはならない立場にある、という自覚に加え、多くの警察官が抱えるのは 『孤独』 という性質では。一人で判断し行動することが多い一人職場、それもやはり同僚、仲間がいなくては人は道を誤るということでしょうか。

どの話も秀逸ですが、ラストの 『見つめないで』 ストーカーの話、お見事でした。犯人はもう分かっているのにどうして…どうも信じられない…と何度も怪しんでしまう。乃南氏の人物描写、心の機微が素晴らしいです。人は本当に危うい存在であるし道を誤ることもある。だからこそ愛おしいのかもしれません。

悪人を描きながら悪人になりきれない人々を、温かく見守る著者のまなざしが、読んでいて本当に心地よい一冊。

評価:(5つ満点)

40歳の教科書 ドラゴン桜公式副読本

40saino.jpgドラゴン桜公式副読本 『16歳の教科書』 番外編 親が子どものためにできること
公立小学校で導入が進む英語教育は本当に役に立つのか? 中高一貫校は最良の選択肢なのか? 親たちが悩む答えの出にくい問題をめぐり14人の論客が真正面から本音で語る。モーニング編集部、朝日新聞社編。朝日新聞連載に加筆修正して単行本化。
(ドラゴン桜)三田紀房 作のマンガ。講談社モーニングにて連載を単行本化、全21巻完結。元暴走族の駆出し弁護士 桜木建二が、経営破綻状態となった落ちこぼれ高校 私立龍山高等学校を、一見奇抜とも思える方法で立ち直らせるストーリー。

マンガ 『ドラゴン桜』 は前々から読みたいと思ってはいたのですが、なかなかこういうマンガ持っている人にも出会えず、貸本屋(じゃなくてレンタルビデオ)にもないしマンガ喫茶に確実にあるなら行くけどないかもしれない…とここまで来て、なんと。第1王子の中学校では今年度の学年費で全巻買ったそうです。生徒に順番に読ませたとか…中学校の教育も変わったな。というか私も借りなきゃな。と思っていたところへ本書。
16歳の教科書、というのは文字通り中学を卒業した生徒に向けて書かれた本で、その番外編としてその親に贈る副読本。ドラゴン桜の前哨戦(借りる気満々)として読んでみました。

様々な分野で活躍している社会人のインタビューが載っています。実に多彩、デーブ・スペクター氏や西原理恵子氏、はたまた工藤公康氏といったTVに出てくる有名人の方々から、企業の社長さんまで。カウンセラーの方の箇所で【ポジティブ・プッシング】という考え方を教わりました。

評価:(5つ満点)

原稿零枚日記*小川洋子

genkou.jpg原稿が進まない作家の私。苔むす宿の奇妙な体験、盗作のニュースに心騒ぎ、子泣き相撲にいそいそと出かけていく。私の日々の生活は夢か現か妄想か?日記体の長編小説。すばる連載を単行本化。
(小川洋子)1962年岡山市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。 『揚羽蝶が壊れる時』 で海燕新人文学賞、『妊娠カレンダー』 で芥川賞、『博士の愛した数式』 で読売文学賞、本屋大賞、『ミーナの行進』 で谷崎潤一郎賞を受賞。主な著書に 『ブラフマンの埋葬』 『薬指の標本』 など。

本作、面白いか?と言われれば面白いような気もするけど、やっぱり面白くないかも。日記、随筆調なので淡々と日々が綴られ、どんどん読み進めたいという気持ちにはなれず全然読みが進みませんでした。

小川洋子氏の筆力なのでここまで仕上がってますが、フツーの人がこういう文章書いてもつまらないだろうな…と思い、それって私のこのブログのことか!? と思ってしまいました(笑)。
梨木香歩 『家守綺譚』 のような内容ですが、残念ながらそちらには及びません。

評価:(5つ満点)

相棒 劇場版II

aibou2.jpg警視庁占拠!特命係の一番長い夜
警視庁本部内で人質籠城事件が発生。人質は各部の部長ら幹部12名。現場の会議室は機動隊と特殊捜査班SITに完全包囲されるが、犯人からは何の要求も無く動機は不明。時間だけがただ過ぎていく。いち早く事件に気づいた特命係の神戸尊と杉下右京らは鑑識米沢らの協力を得てある奇策に出る。この事件は裏にはある過酷な真実があった。

2011初映画は相棒。今更相棒シリーズにハマる私…本当に人様より3年~流行に乗り遅れてますが、面白いものは面白い。だからいいのです。

水谷さん(といえば熱血時代だ!)のエキセントリックな右京さんも、ちょっとおマヌケな相棒ミッチーもどちらも好きなんですが、何と言っても犯人像の描き方が毎回ちょっとじゃなくて結構ひねってあるところが、本当に面白いです。某ミステリー作家(誰?笑)の最後の最後で大ドンデン!という読者のこれまでの(我慢して読み続けてきたという)努力を裏切るようなひねりではなく、本当に爽やかなひねり。うーんTV朝日まだまだやれます。

劇場版ですからいつものTVシリーズよりずっとひねっている訳で、そこが見どころです。 『あなたの良心を問う。』 というキャッチコピーも素晴らしいです。巧い、の一言。

TVシリーズでも前相棒の寺脇さん、もちろん彼もなかなかいいのですがやっぱりミッチーという配役がいいですねーGTRに乗ってる刑事ミッチー、素晴らしいです。刑事があんな目立つ車に乗ってること自体がおかしいのに、しかもあれ公用車(パトカー)なのか?私用車で外回りしている方もおかしくないか?保険とかどうなってるのだろう…とかどうでもいいことが気になってしまう設定、堪りません。

鑑識の六角さんもこれまた素晴らしいです。六角さんだからこそ醸し出せるあの雰囲気、堪らないです。そして本作驚愕のラスト!! お見逃しなく。

評価:(やっぱりミッチーは元祖王子♪)

おとぎのかけら*千早茜

otogi.jpgシンデレラ、白雪姫、みにくいアヒルの子など代表的西洋童話を現代日本に置き換えた耽美で鮮烈な短編集。小説すばる掲載に書き下ろしを加えて単行本化。
(千早茜)1979年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。小学生時代の大半をザンビアで過ごす。『魚神』(『魚』 改題)で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。同作で泉鏡花文学賞受賞。 
(収録作品)迷子のきまり/鵺の森/カドミウム・レッド/金の指輪/凍りついた眼/白梅虫/アマリリス

なかなかに面白い企画です、毒のある物語集に仕上がっています。金の指輪(シンデレラ)、凍りついた眼(マッチ売りの少女)が特に秀逸ですね。

昔話に込められている人の身勝手さ、を責める風でもなくさらっと描いていて、やはり新作が気になる作家の一人です。

評価:(5つ満点)

おいしい中国「酸甜苦辣」の大陸*楊逸

oisii.jpg食べ物こそ中国の成長の秘密。中国東北部の食文化をカラー写真で一挙公開。楊逸が子ども時代を振り返り母国の食文化を通して文化や人々を縦横無尽に語る。東京新聞連載を大幅に加筆修正し単行本化。
 (楊逸)ヤン・イー。1964年中国ハルビン市生まれ。お茶の水女子大学卒業。在日中国人向けの新聞社勤務を経て中国語教師。『ワンちゃん』 で文學界新人賞、『時の滲む朝』で芥川賞受賞。著書に 『金魚生活』 『すき・やき』 。

中国三千年の食の歴史、楽しいことばかりの本かと思いきや、全然違いました。教師の家に生まれたために幼い頃一家揃って文化大革命の 『下放(シャオファン)』 の対象となり、厳しい農村での農作業の暮らしに従事したこと。春節の1ヶ月のために残りの一年間、ひらすらにただ働く生き方、などなど当時の中国の人々の厳しい暮らしがありありと迫ってきます。

楊氏は60年代生まれ。69年生まれの夫とほぼ同じ世代だというのにこんなに子どもの頃、食という人間の基本的な生活の部分で苦労されていたとは…。そして大多数の中国の人が、その苦労が当たり前であったとは。本当に世界は広く、私は知らないことが多すぎます。

厳しい下放の日々。3年経ちようやく下放から解放され戻るも、かつての家は既に他の人に取られ、学校の片隅に宿を取り暮らす日々。そこでもいつもお腹を空かせていた楊氏が思い出すのは、食べ物のことばかり。その日々の中で近所に暮らしていた回族(ウイグル族)の人々や朝鮮族の人々の話など、興味深く読みました。

改めて楊氏の日本語、かなりこなれてきたのを感じました。小説の新刊も楽しみにしています。

評価:(5つ満点)
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DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
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