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読書と映画と観劇と

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誰も知らない

img20050821.jpg不思議な感覚の作品でした。ストーリーは始めから終わりまで完全に主人公である長男 明の 『子どもの視点』 で表現されています。自分達を捨てて出て行ってしまったひどい母親であるのに、その母親に対する愛情があるものだから芯から母親を憎みきれない。それどころかそんな母親を受け止め、理解しようとまでしている。何もかも受容している明の心情が最後まで痛いです。

親として、身につまされる部分が多くありました。
母親であるけい子(YOU)は子ども達を愛し可愛がっていた。にも関わらず自分は好きな男と暮らす道を選ぶ。そのために子ども達の存在を隠し、ある日突然荷物を抱えて出て行ってしまう。

出て行くときのけい子と明の会話。
『おかあさんは幸せになっちゃいけないわけ?』
子どもは可愛い。けれどそれが全てではないはず。といつも自分の自己実現についてばかり考えている私にとって、キツイ台詞でした。

評価:(5つ満点)
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デイ・アフター・トゥモロー

img20050821.jpg大スペクタクル・パニック映画、という内容を期待してビデオで観たのですが、結局なんなんだ?という印象でした。テーマとして何が言いたいのか不明です。 『地球温暖化防止』 が言いたいのか 『アメリカの父親は強い』 が言いたいのか?どちらにしてもイマイチな印象の映画でした。

更に 『東京・千代田区』 というシーンがあるのですが、明らかに考証を誤っている現代東京で非常に違和感を感じます(笑)。あんな風にシャッターをガラガラと落とす屋台なんてないし、ネオンや看板も一体どこを参考にして作ったのかかなり謎なモノが多い中、『クロネコヤマト』 という看板だけがしっかり読み取れました。でも絶対あんなヤマト運輸の看板はないはず。

仲間を犠牲にしてまで息子を助けに行く父親といい、本当に最後まで何を言いたいのかよく分からない映画だった。パニック映画ならパニック効果だけに絞った方がいいかもしれないですね。

評価:(5つ満点)

Re:プレイ

img20050821.jpgこれもビデオで観たのですが、事故にあった主人公は2000年と2002年の2つの記憶を行ったり来たりし、主人公と共に視聴者もどちらが本当の記憶なのかをドキドキしながら考えます。しかし事実は…というストーリー。どちらが本物か?は最後まで分からないのですが、最後の展開はちょっと逃げに入っている感じ。途中の主人公が命を狙われている、というハラハラ感は結構楽しめます。

『死ぬまでにしたい10のこと』 のサラ ポーリーが出ていますが、このサラはとても可愛らしい印象で中山エミリみたいです。と思いっきり私見書いてみました。それにしてもこれも原題と邦題が全く違いますね、原題は 『The I Inside』 というそうです。でもこの邦題 Re:プレイ って上手いなぁと思う。誰が考えるのかな、邦題って。

評価:(5つ満点)

天使の代理人*山田宗樹

img20050821.jpg生命を誕生させるはずの分娩室で行われて来た後期妊娠中絶の事実。数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・冬子は、息を引き取る寸前の胎児の目に映った己の顔を見て、この恐ろしい現実を世に訴えることを決意する。中絶という重いテーマについて、様々な立場にある中絶体験者予定者やそれを目の当たりにしてきた助産師の想い・活動を軸として、世に問う衝撃作。

ダ・ヴィンチの2ページ記事を見て読んでみようと思ったのですが、読了感はどうも…。1人称が複数であったり時間軸が前後する作品は読みづらいものが多い中、これは大変よく出来ており違和感を感じさせないのですが、中絶手術の場面や最期の冬子の独り語りの箇所はだーっと涙は出るものの、出た後ですら、何で泣いたんだろう?と思ってしまうような、あまり心にひっかかる部分が足りないような気持ちになるのが気になった作品でした。

どうもインパクトを与えることに焦点を絞って書かれた作品のように感じてしまいます。テーマとしてはかなり興味深く、人物設定もよくできていると思います。様々な立場の助産婦が後期妊娠中絶の現実に立ち向かおうと行動を起こすくだりや、中絶を希望した人、出産希望であったにも関わらず医療ミスで中絶となってしまった人、精子バンクで妊娠し出生前診断で希望の男児でなかったため中絶しようとしている人、がインターネット掲示板で出会い会話を交わすことにより、それぞれ影響し合って行く、などのくだりは自然な流れでの問題提起ができていると思います。中絶の医療ミスもあるのか!ということが何も知らなかった私にはショックでした。

途中、 『中絶する権利』 がジェンダー論に及ぶ箇所がありますが、ここはちょっと不明瞭かな。女性である私にとっても 『中絶する権利』 というのはどうもしっくり来ないですね。
また、初期妊娠中絶は割と簡単にできる(手続きも費用の面も)ということもこれまたショックでした。中絶について、男性にももちろん知っておいて頂きたいことはでありますが、まずは妊娠する当事者である女性は中絶に対する自分自身の考えはしっかりと持っておきたいものですね。

以前何かの記事で読みましたが、日本の中絶手術の大半は既婚女性による、夫との子どもの中絶だそうです。この記事を読んだ時はかなりの衝撃でした。色々な事情があるとは思うのですが、これほど愚かなこともないかと思います。

『セカチュー』 的要素を感じる作品ですが、問題提議という点では評価できるかと思います。オススメ!とは言い切れませんがご一読はおすすめします。

評価:(5つ満点)

白夜行*東野圭吾

img20050821.jpg大阪の小さな町で起きた殺人事件。犯人は特定できず19年の歳月が過ぎる。当時小学生だった被害者の息子である影のある少年と、容疑者の娘である美しい少女は仲の良い友人だった。高度経済成長期からバブル期までの時事に沿いながら、生き抜くために影となり日向となり人生を支え合って来た男女の物語。壮絶なまでに貪欲に幸せを追い求めた女と、その欲望のために影として生きることを選んだ男。その関係は友情か、愛情か。東野圭吾の代表作である長編。

エンターテイメント作家、という印象の強い東野氏の作品の中でも、本作は熱が入ってるな、と感じさせる長編でした。ちょうどバブル前の高度経済成長期を時代背景に、アンダーワールドで生き抜いてきた2人の男女が主人公なのですが、この作品の面白いところは主人公達を1人称にした箇所が全くなく、彼らに関わった大勢の人たちに視点を合わせていくことによって2人の人物像に迫ろうとしたところです。仕掛けが好きな東野氏らしい作品ですね。

最期まで主人公(と果たして言えるのかどうか?)の2人の人物像は実は明確にはなりません。なぜ2人は全く違う環境にいながらも常に連絡を取り合い、全てに連携して人生を歩んできたのか。ちょうど蝶番のようにそれぞれがお互いに必要なもの(情報、資金)を補いあって来たのか。正直彼らの気持ちは分かりません。そんなに支えあってきたはずの2人をつないでいたものは愛情だったのか、それともそうではなかったのか。最期のシーンも判断が難しい。

けれど2人の人生は決して幸福ではなかった。それはそれぞれが別々の場面で自分の人生について語ることで表現されています。男は 『いつも白夜の中を歩いて来たようだった』 と言い、女は 『自分は太陽に照らされなければ輝くことすらできない月のようなものだ』 と自分を表現します。太陽の下を歩んで行くことができなかった2人。この2人に共通しているものは何か。

それは 『幸福な子ども時代の欠如』 だと私は思うのです。本来愛され庇護されるべきである子ども時代に、その恩恵を充分受けることができなった。すると人間はこうなってしまうのかもしれません。
クリスマスやお正月が楽しいのも、子どもの頃楽しかった思い出があるからではないでしょうか。

親の責務は子どもに幸福な子ども時代を与えることではないかとつくづく思わせる作品です。

評価:(5つ満点)

六番目の小夜子*恩田陸

img20050821.jpg地方都市の進学高。そこには代々の生徒により伝えられてきた 『サヨコ』 という儀式があった。前任者によりその年の 『サヨコ』 に任命された生徒は、代々秘密の鍵とある儀式を次の学年に伝える役割を担う。決して途切れることなく伝えられてきた儀式。誰が何のために始めたのか?そして今年のサヨコは一体誰なのか?高校時代という誰もが通ってきた、学校という特殊な環境におけるノスタルジーを描いた作品。

ミステリーの旗手、恩田陸のデビュー作です。
とは言っても恩田陸は初めて読みました。タイトルも設定もすごく興味を惹かれるもので素晴しいのですが、肝心のオチがちょっと…。恩田氏自らもあとがきで、ファンタジーノベル大賞候補作として選ばれた際かなり叩かれた、と書いていますが、確かにファンタジーという分類で見ると叩かれるのは仕方ないかもしれません。結論としてファンタジーになっていないからです。

でもあらすじを自分で書いてみて思ったのですが(あらすじをよそからコピーすることもありますが大体私が考えて書いております)、儀式としての 『サヨコ』 の実体はノスタルジーそのものであった、いうことを作者は言いたかったのだと思うのです。 『サヨコ』 の儀式と存在に怯え翻弄されるそれぞれの高校生を描くことで、高校生とは大人に成りきれていない存在、子どもと大人の中間的存在と表現することが作者の意図だったのでしょう。

読了直後はどうせなら思いっきりファンタジーとして書けば良かったのに、と思いましたがこうして時間が経ってみるとあの結末でも良かったのかもしれないな、という気がしてきました。ただ途中仕掛けが破綻しているところがいくつかあるのでそれはちょっと見苦しいかなと。恩田作品でオススメがありましたらぜひ教えてください。

(おまけ) 恩田陸と宮部みゆきって似ていると思う。どうでしょ?

評価:(5つ満点)

アルバイト探偵 調毒師を捜せ*大沢在昌

img20050821.jpg広尾の洋風アパートで私立探偵事務所を営む冴木親子。不良親父 涼介の頼りになるパートナー、隆(リュウ)くんは高校2年生。徐々に国際級の依頼が多くなってゆく中、本当の親子以上に絆を深めてゆく2人。隆の実の両親についても真実が隆に明かされる。
アルバイト探偵シリーズ第2作。


短編4編を収録。1作目の最後に登場した 『歩く国家権力』 内閣調査室 副室長 島津さんからの依頼が主になり、徐々に国際色を帯びてゆく冴木インヴェスティゲイションの今回の事件は。ルーマニアのドラキュラが出てきたり、涼介が毒を飲まされ解毒剤を求めて隆くんが奔走するという辺り、展開が面白くなってきてアルバイト探偵のコンセプトも定まってきたな、と感じさせる短編集です。やっぱりファンタジー要素が多いのがアルバイト探偵の最大の魅力だしね。

ちなみに元スケ番、康子ちゃんとはまだプラトニックです(っていちいち言わなくてもいいってば)。

評価:(5つ満点)

JR列車代行

よく災害でJRの列車が止まり代わりにバスが運行されそのバスにはJR列車代行などと書いてありますが、初めてこの列車代行のお世話になってしまいました。

朝から台風。しかし私は10時に某NPO団体の就職面接があり、特急でも1時間かかるA市へでかけなくてはならない。ちょうどよい時間の特急がなく、鈍行で1時間半かけて行こうと駅まで行くと。改札の外に中に溢れる高校生。一様に携帯をかけてます。何かと思えば早くもJR H線が運休、線路水没とか。とにかく雨に弱いH線、もう運休。高校生は学校へ電話して休校を確認したらしく、駅から出て行く子、帰りの電車(東北本線は運行中)に乗り込む子と様々。それにしても結構遠くの駅からH市内の高校に通う子が多いんだね。

何とかA駅へ着くもなんと私の列車の直後から運休。帰りも見合わせ中。なんかスゴイことになってきた。とタクシーでNPO団体事務局へ。入った瞬間イヤな感じはしたのですが…変なオジサンがまず座れ、NPO団体の案内などを見ろというから見ていたら、同じオジサンが 『そろそろ面接、いいですかね?』 だって。だったら見ろなんて言うなよ。と思いつつ面接会場はと言えば、廊下のへこんだ所についたてを置いただけ。声が反響して聞き取りにくいぞっ。
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DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
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