バーテンダーの俺は時々記憶が曖昧になる。自分が死亡事故を起こしていたことを知らされ、その事実に愕然とする。なぜそんな重要な記憶が失われているのか。俺の記憶は蘇るのか?事故を巡る関係者達が徐々におかしな動きを見せ始める…何かの策略にはまってしまったのだろうか?ミステリーかホラーか、最後まで予断を許さない異色作。
(東野圭吾)1958年大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業。『放課後』 で江戸川乱歩賞、『秘密』 で日本推理作家協会賞、『容疑者Xの献身』で第134回直木賞を受賞。主な著書に 『幻夜』 『白夜行』 『片思い』 『トキオ』 『ゲームの名は誘拐』 など。
設定といい展開といい趣向としてはなかなか面白いけれども…やや読者サービス的な表現が多すぎるのとトリックの仕掛けがちょっとイマイチな感じ。一種の狂気を描きたかったのかもしれないけど、その狂気とはどこから来るものなのだろう?
いい感じであるにも関わらずついトリックばかりに意識が行ってしまい、登場人物らの心の動きといったものがやはり見えてこない。主人公はじめみんながみんな、そんなに嫌世的な人ばかりじゃないと思うのですが…。主人公が妙にギラギラして 『いなさすぎ』 というか、この世に未練がなさすぎで、もっと欲を出して欲しいと思ってしまう。
評価:(5つ満点)