突然死したアイドル、癌で逝った母、喧嘩したまま亡くなった親友、失踪した婚約者。様々な事情を抱えた依頼者が今日も死者との仲立ちをする使者-ツナグを頼ってくる。彼らは喪ったものを取り戻すことができるのか。『yom yom』 連載に加筆修正し単行本化。
(辻村深月)1980年生まれ。千葉大学教育学部卒。『冷たい校舎の時は止まる』 でメフィスト賞、本作で吉川英治文学新人賞、『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。主な著書に 『凍りのくじら』 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』 『オーダーメイド殺人クラブ』。
(収録作品)アイドルの心得/長男の心得/親友の心得/待ち人の心得/使者の心得
映画化されたということで話題の本作、職場の先輩が貸してくれました。死者との面会を叶える 『使者(ツナグ)』 という名前の霊媒師?イタコ?の物語。使者の家系には死者をあの世から呼び出すことのできる特殊な能力が代々備わっており、長年使者として責務を果たしてきた祖母の後継者として選ばれた孫である男子高校生を中心とする物語。ちょっと不思議な力を持ってるちょっと特別な子、というイメージは描きやすいですね。
使者に依頼をする依頼人の事情が、死んだ母親に会いたい、という普通の理由以外のものもたくさんあるのが面白いですね。どんなに生前付き合いが深い仲でも、相手が亡くなってしまえばそのことは思い出として残す、つまりある程度はもう諦めるのが普通ではないかと思うのですが、そこで使者の存在を知った人々は何としてでも死者である自分の会いたい人に会おうとする。
人の想いは深いものですが、それに捕らわれていては生き残った者は生きるのが辛いだけでは。という気持ちに、使者と彼らが呼び出す死者は、答えを用意してくれるのでしょうか。
辻村深月は初めて読みましたが、読みやすいですね。ちょっと優しすぎる気もしますがいいと思います。映画も時間があれば観たかったです。
評価:



(5つ満点)
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