アンダーグラウンド/UGの取材を切望していたCNN記者コウリーはUG細菌戦特殊部隊への同行を求められる機会を得た。彼らの目的は九州にある超高級リゾート、ビッグ・バン付近の村で発生した奇妙な殺人ウィルス、ヒュウガ・ウィルスの発生源を壊滅させる任務だった。報道記者としてUGのゲリラ兵士と行動を共にするコウリーだったが。 『五分後の世界』 続編。
(村上龍)1952年長崎県生まれ。武蔵野美術大学中退。 『限りなく透明に近いブルー』 で群像新人賞、芥川賞、『コインロッカー・ベイビーズ』 で野間文芸新人賞、 『村上龍映画小説集』 で平林たい子文学賞、『インザ・ミソスープ』 で読売文学賞小説賞、『共生虫』 で谷崎潤一郎賞受賞。主な著書に 『69 sixty nine』 『ラッフルズホテル』 『トパーズ』 『半島を出よ』 『歌うクジラ』 など。
そして五分後の世界の続編です。私はこっちが好きですね、更に巧くできています。普通続編はつまらないものですが、村上氏は本当にスゴイです。視点を今度はアメリカのジャーナリストとしたのがいいですね、現代に生きる私達の視点にすごく近いです。
アメリカCNNの記者コウリーは好奇心から
UG(アンダーグラウンド:日本政府を指す)の兵士らのミッションを同行取材することとなる。このアメリカ側が使用するUGという呼称、もちろん国連軍UNのもじりですね。UN対UG。そしてUN側であるコウリーを利用しようとするUG側。コウリーから見たUG兵士達の凄まじさがまた、リアルです。
UG兵士は…トロッコ列車で移動中15分あれば必ず眠る。脳を休めることが兵士の必須条件。私も見習って15分あれば眠ることにします(笑)。彼らの敵に対する容赦のない攻撃手法、まさに殺戮のプロ。しかし、UG(地下)に暮らす彼らは飛行機は飛ばせないという!何とかしてパイロットを調達して飛行機に乗るのですが、この辺の描写も井の中の蛙だと表現したいのか。
ラストまで次から次へと訪れる危機、展開は最後の最後まで驚かされます。人間、極限状態に生きているとこうなるという村上氏の想像力がとにかくすごいです。これぞ、作家です。夏休みにふさわしい、刺激的な読書体験でした。a-tanaさん、貸してくれてありがとう。
評価:




(UGと見るとビクッとします)
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