ワタルは真面目で実直であると思っていた父が、母との結婚前に結婚を約束していた女性と再会したことで彼女と人生をやり直すことを選んだ、という厳しい事実に直面し、すっかり神経衰弱してしまった母を目の当たりにし、自分自身も消えてしまいたい願望に押しつぶされそうになる。そこへ両親がいない転校生ミツルに出会い、彼の言動に触れやがて彼を追って自分も幻界へ旅立ち結果としてミツルと運命を争うこととなる。ミツルが現実世界への復讐を誓い目的に邁進するのに対し、ワタルは人情に流され寄り道ばかり、という展開を見ていても、ワタルにこの運命を背負わせるのは可哀相ではないかと余計な感情が入ってしまう。
幻界でワタルは父と父の愛する女性に会う。彼女は現実でも父の子どもを妊娠しておりその事実はワタルも知っているのだが、幻界ではそれゆえに2人は村(共同社会)を追われ誰も住まない沼地のほとりで2人だけの厳しい暮らしを強いられている。それでも幸せだと言う2人。ワタルは2人を引き離そうとするも、最終的にそれは叶わない事だと自覚する。
2人が添い遂げることで悲しむ元の家族の事も見た上で、ワタルは2人をそのままにしておくのだ。
小5の子に…キッツ~イ。と思った。
全体的な内容はドラクエそのままで、インターネット上でも『小学生に読ませても大丈夫だった』という親御さんの意見もあったが、私は子どもが小学生のうちは読ませたくないなぁ、と思った。
最後もワタルは願いを叶えることができず幻界を封鎖し現実世界へ、母が入院している病院へ戻っていく。もはや父は母や自分の元には戻ってこないことを承知している亘。その現実を見据えるための幻界での旅、ということだろうが、やっぱり私には後味悪い結末だった。
たとえば『模倣犯』でも少年は出てくるが、彼には素直にこれからも頑張って生き抜いて欲しい、という周囲の気持ちにすごく共感できる。しかしなぜかファンタジー物に出てくる少年達は薄幸すぎる。ワタル幻界にずっといればよかったのに。なんて思ってしまう。これが現実の主人公が大人で、幻界では少年の姿で旅をする、というのであればまた印象が違ったと思うのだが。
アニメ映画公開