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ブレイブストーリー*宮部みゆき

bravestory.jpg東京下町で新設校に通う小学5年生の亘(ワタル)。気になる転校生美鶴(ミツル)の行動を追ううち、幽霊が出ると噂される建設途中のビルの扉から剣と魔法が支配する異世界【幻界(ヴィジョン)】へと旅立つ。怪物や呪い、厳しい自然など旅人に苛酷な運命が待ち受ける幻界で、そこで得た仲間と共に自らの運命を変えるべく【運命の搭】を目指すワタル。その願いは叶えられるのか?というファンタジー大作。

初めに申し上げておきますが、評価が低いのは決して本作が駄作という意味ではありません。むしろ宮部ファンタジーの本道だと思われます。にも関わらず評価3であるのは、私自身が宮部氏のファンタジーがあまり好みではないというだけです。

宮部氏の作品は大きく分けて【刑事物】【時代物】【ファンタジー物】とありますが、私が一番好きなのは【刑事物】であり『龍は眠る』『クロスファイヤ』初めとする【ファンタジー物】はイマイチ好きではないというだけです。理由は判然としないのですが、どれも少年少女が主人公で結末がにやや救い難いイメージがある、ということが理由でしょうか。途中まで夢中で読んでいてもどうも結末があまり好きに慣れない作品が多いのです。

本作は普通の小学生 亘が両親の離婚問題という現実世界に絶望感を抱き、その強い思いが精神世界である幻界への扉を開かせ、そこで冒険するというストーリーです。ワタル(カタカナになる)は現実世界での自分の状況を打破すべく自身の精神世界である幻界で、(現実での)願いを叶えることができる賢者が住むという運命の塔を目指し旅を続ける、という展開。幻界の成立理由やその世界観などドラクエ世代である私達には受け入れられやすい内容となってはいるものの、なぜ今『少年』を旅させるのか。そして少年はそこで何を学んだのか。そしてどのような想いを抱え現実世界へ帰っていくのか。そこがちょっとしっくり来ない。

評価:(5つ満点)

ワタルは真面目で実直であると思っていた父が、母との結婚前に結婚を約束していた女性と再会したことで彼女と人生をやり直すことを選んだ、という厳しい事実に直面し、すっかり神経衰弱してしまった母を目の当たりにし、自分自身も消えてしまいたい願望に押しつぶされそうになる。そこへ両親がいない転校生ミツルに出会い、彼の言動に触れやがて彼を追って自分も幻界へ旅立ち結果としてミツルと運命を争うこととなる。ミツルが現実世界への復讐を誓い目的に邁進するのに対し、ワタルは人情に流され寄り道ばかり、という展開を見ていても、ワタルにこの運命を背負わせるのは可哀相ではないかと余計な感情が入ってしまう。

幻界でワタルは父と父の愛する女性に会う。彼女は現実でも父の子どもを妊娠しておりその事実はワタルも知っているのだが、幻界ではそれゆえに2人は村(共同社会)を追われ誰も住まない沼地のほとりで2人だけの厳しい暮らしを強いられている。それでも幸せだと言う2人。ワタルは2人を引き離そうとするも、最終的にそれは叶わない事だと自覚する。
2人が添い遂げることで悲しむ元の家族の事も見た上で、ワタルは2人をそのままにしておくのだ。

小5の子に…キッツ~イ。と思った。
全体的な内容はドラクエそのままで、インターネット上でも『小学生に読ませても大丈夫だった』という親御さんの意見もあったが、私は子どもが小学生のうちは読ませたくないなぁ、と思った。

最後もワタルは願いを叶えることができず幻界を封鎖し現実世界へ、母が入院している病院へ戻っていく。もはや父は母や自分の元には戻ってこないことを承知している亘。その現実を見据えるための幻界での旅、ということだろうが、やっぱり私には後味悪い結末だった。

たとえば『模倣犯』でも少年は出てくるが、彼には素直にこれからも頑張って生き抜いて欲しい、という周囲の気持ちにすごく共感できる。しかしなぜかファンタジー物に出てくる少年達は薄幸すぎる。ワタル幻界にずっといればよかったのに。なんて思ってしまう。これが現実の主人公が大人で、幻界では少年の姿で旅をする、というのであればまた印象が違ったと思うのだが。

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Comment

アニメ映画公開

  • AKM
  • 2007-02-24 13:01
  • edit
アニメ映画が公開されますね。
アニメとはどうなのかしら…
パンフレットもらってきたけど
第1王子にも楽しめる内容なのだろうか?

自分の読後感想を読んで
映画に連れて行くべきかどうか
ちょっと悩んだりして(笑)。
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1972/02/16
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