元OLの占い師ルイーズ吉田は売れっ子占い師として毎日大忙し。ショッピングセンターの一角で店を構えていると色々な悩みを持つ客が毎日現れる。ある時は小学生、ある時は女子高生…。ある日物事の終末が見えるという大学生の武田君が現れた。勝手に押しかけ見習い占い師となった彼はルイーズにも何かの終わりの兆候が見えると言い出すが…。表題作ほか3編を収録した連作短編集。
(瀬尾まいこ)1974年大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒業。『卵の緒』 で坊っちゃん文学賞大賞を受賞しデビュー、『幸福な食卓』 で吉川英治文学新人賞を受賞。
(収録作品)ニベア/ファミリーセンター/おしまい予言/強運の持ち主
人と付き合うのが苦手で営業をしていた会社を辞めたルイーズ吉田、たまたま占い師の求人を見て、これならわずらわしい人間関係に悩むことなく1人で仕事が出来ると応募するが…。
結局仕事でも何でも、人は周囲の多くの人に助けてもらって生きていることにルイーズ自身も気付く、という話。
本作は占い師ルイーズ吉田の誕生を初めとする連作短編集の形を採っています。面白いのは占い自体をルイーズは
『適当に』 やっていると豪語しているくせに、自分の直感で
『運が強い』 と感じた現在の恋人を前の恋人から決死の思いで略奪愛?したり、困ったときは占いの師匠をすぐ訪ねたりするところなど、結構私には占いに頼っているように見えるルイーズ。その矛盾が面白いのかも。
本作は 『占い』 という仕事を通じて、人が人に対する愛情や思いやりを知り、成長をしていくルイーズ自身の成長物語と感じました。
収録作品では
『ニベア』 が一番気に入りました、設定も構成もうまくできていると思う。占いに来た小学生の男の子が最後に
『先生(ルイーズ)のニオイってお母さんのニオイだ。』 という箇所。上手い。の一言です。
久々の瀬尾まいこは、心洗われます。
評価:





(5つ満点)
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