閉店後のラーメン店で店主が何者かに暴行され死亡した。通報した若者を容疑者として始まった捜査は早期解決が確実視されていたが。『佐賀新聞』『大阪日日新聞』などで順次掲載された作品を加筆修正して単行本化。
(薬丸岳)1969年兵庫県生まれ。駒沢大学高等学校卒業。 『天使のナイフ』 で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。主な著書に 『闇の底』 『悪党』 『刑事のまなざし』 『死命』 など。
単純だと思われた事件の真相に実は複雑な事情があった。という物語。登場人物ら一人ひとりの心情をもっと深く考えながら読めれば良かったんだけど、薬丸岳の文章はあんまり良すぎてついつい夜更かしして一気に読んでしまう。
小説の醍醐味は行間にあると思うのです。少し読んでは本を置き、仕事の合間などにふとあの部分は実はこういうことでは?と創造を膨らませる作業、それが面白い。なので一気読みしてしまうと面白かったのだがどういう話だったっけ?と思ってしまうことも多々。
多くの書評に二時間ドラマ的展開、とあるように、犯人像が途中でひっくり返り読者に同情を誘う設定になっているが、それもちょっとどうかなという意見には、少しうなづいてしまいます。小説のエンタメ性は大事だと思いますが、デビュー作 『天使のナイフ』 のような作品をまた読みたいです。
評価:




(5つ満点)
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