子どもを持つ親や大勢の子ども達の前で本を読む人のために読みきかせに最適な本と読みきかせのポイントをテーマ別に紹介。本選びのコツ、ボイス・トレーニングなどのテクニックも解説。Q&A、コラムも収録。
(赤木かん子)児童文学評論家。児童文学の書評や紹介を中心に活躍。学校図書館の改装を手がけ図書館作りにも携わる。主な著書に 『子どもに本を買ってあげる前に読む本』 『自然とかがくの絵本総解説』 『調べ学習の基礎の基礎』 など。
まずのっけから
『かならず成功する』 って言うのがやや気になりますが…というのも読み聞かせは
【成功】するために行うものではないからです。とは言え本を売る側として+インパクトのある題名を付けたいのは売上の面から言っても当然だからですね。かく言う私もこの題名だから気になって買ったわけです。
具体的な読み聞かせの目的、手順、テーマごとの本の紹介など、うなづける部分が多く、これからおはなし会を開催したいと思う方への入門書としては具体的なことが多く載っており、参考になる部分が多いです。特にテーマに沿った内容の本の紹介は知らなかった本が多く、赤木さんの個性が感じられます。人の選書というのはいつでも勉強になります。
この本で私が得た一番の収穫は、この本の賛同できる部分と賛同できない部分があることが自分で判断できたこと。私も読み聞かせセミプロ1年生として、自分自身の判断基準(物差し)ができてきたことの確認ができました、嬉しいことです。
赤木さんのおっしゃる通り、読み聞かせとは
【子ども達に幸福を与えること】に他なりません。
読み聞かせをする大人の自己満足でもなく自己顕示でもなく、主役はおはなし(絵本)を聞く子ども達である。この大前提を常に意識していないと
『うまくできたかな?』 の意味合いが大きく変わってきてしまいます。自分の技術を誇示する場では決してないということ、ついつい忘れがちです。
Q&Aでは
『絵本は右持ち左持ちどちらがよいか?』 『読むスピードは?』 といった具体的な質問に赤木さんが明確に答えてくれています。ここで大事なのは通り一遍の回答ではなく赤木さん自身が感じたままに答えていること。
例えば
Q. 読む時のテクニック、抑揚のつけ方、スピード、間の取り方、感情を込めた方がいいのか淡々と読んだ方がいいのか?
という質問に対しては
A. 本の演出は一冊一冊、また演じ手によって変わるもの。その本が要求する読み方で読んでください。確実に言えるのはわからない本はやらない、できない本はやらないということ。
この答えは明確ですね、つまりは自分で判断しろ、ということです。判断できないうちはまだまだ修行が足りないということ、もしくはその本と自分は合わないということですね。厳しい言葉ですがその通りだと思います。
学校図書館にも造詣の深い赤木さんならではの学校や先生方とのお付き合いの仕方についても記述が多く、うなづく部分は多いです。ただ赤木さんの言う
【古典(ロングセラー)にこだわるな】 【昔話はプロのするもの、素人は手を出すな】はどうかな、と思うのですが。そしてどうかな、と思えた自分の感覚が、ちょっと嬉しいです。
評価:




(何はともあれよい入門書)
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