緑は14歳、子ども以上女未満。初恋はもう少し。話を聞くのが上手なおばあちゃんは自分の夫は失踪中。全く頼りないお母さんはかつて妻子ある男性を愛し緑を出産、その後は緑を連れて実家へ戻りふらふらしている。そんな緑のうちに謎の中年女性が訪ねてくるが。人の縁の不思議さと愛しさを描く。
(西加奈子)1977年テヘラン生まれ大阪育ち。関西大学法学部卒業。『通天閣』 で織田作之助賞受賞。主な著書に 『あおい』 『さくら』 『きいろいゾウ』 『きりこについて』 など。
緑、おばあちゃん、シゲおじさんを刺したムネダさんの奥さん、おかあさん(茜)、従姉の藍ちゃん、その娘の桃ちゃん。不器用な思春期真っ盛りの中学生、緑を取り巻く状況は決して 『普通』 とは言えないけど、それでもいいんじゃないだろうか。幸福幸福と追い求めなくても幸福かもしれないし、そう思えることがもしや幸福なのかもしれないし。のんびりしたストーリーのように見えてその実ショッキングな出来事も用意されており、なかなかな構成上手。でもそういうのもあるよね、と納得してしまう、もしかしてその納得することが幸福なのだろうか?
おかあさんも、藍ちゃんも、桃ちゃんも、そしてみどりもおばあちゃんも。女ばかりの一家もただ幸福なのかもしれない。 『こうふく あかの』 よりは幸福が分かりやすいです。
それにしてもこの 『こうふく あかの』 『こうふく みどりの』 シリーズで描かれているように、アントニオ猪木ってやっぱりスゴイ存在なんだなぁと改めて感心してしまいました(笑)。その影響力が、すごすぎる!
評価:(5つ満点)