21世紀半ばスラム化にむしばまれていた東京。TVネットワークという大資本により生まれ変わった東京にメディアを通じた扇情的な連続殺人事件が発生。ある出来事がきっかけで東京を去り引退を決意していた私立探偵のヨヨギケンは、旧知の作家から妻の護衛を依頼され、TVネットワークが支配する東京湾の人工島に乗り込むが。『B・D・T 掟の街』続編。
(大沢在昌)1956年名古屋市生まれ。慶応義塾大学法学部中退。『感傷の街角』 で小説推理新人賞を受賞しデビュー。『深夜曲馬団』 で日本冒険小説協会最優秀短編賞、 『新宿鮫』 で日本推理作家協会賞長篇賞、吉川英治文学新人賞、「新宿鮫 無間人形」で第110回直木賞、 『心では重すぎる』 で日本冒険小説協会大賞、『パンドラ・アイランド』 で柴田錬三郎賞を受賞。
近未来ファンタジー、大沢先生お得意のパターン。近い将来私達はTV(インターネット)に洗脳される日が来るだろう…というストーリー。情報を制する者が帝王として君臨する、たとえ自分の意思で手足を動かすことすらままならなくても彼は帝王なのだ!
決められた枠内で生きるのは楽だ、だがそれは自由とは言わない。という大沢先生の強いメッセージを感じました。インターネットに頼りがちの現代人に向けた、エンタメという形式をとった警告ですね。やや設定が突飛過ぎる場面が多いような気もしますが、それはエンタメということでいいかと私は思います。なお前作 『B・D・T 掟の街』 未読なので、こちらも近いうちに読まなきゃ。BDTとは作中の造語で 『Boiled Down Town』 煮詰まった暗黒街?というような意味でしょうかね?
評価:(5つ満点)