私が一番気に入った作品は 『さがしもの』 。これも途中をどこか(多分Webダ・ヴィンチの連載)で読んだきりだったので、最後まで読めてよかった。この文中で主人公羊子が反芻するおばあちゃんの言葉。
『いつだってできごとより、考えの方がこわい。(中略)どうなるんだろうと考えているときのほうが私はこわかった。できごとは、起こってしまえばそれはただのできごとなのだ。』
沁みました。本当にそう。いつもどうしよう、どうしようと悩んでいることが多い私には、至言だと感じました。そう、こう考えれば何が来ても怖いなんて思うことないじゃないか。って。
『ミツザワ書店』 のみが男性主人公なので、若干語り口が違うところが他の作品と雰囲気が違うけれど、この話の中で出てくる 『子どもの頃僕にとってミツザワ書店は《世界図書館》だった』 というくだりは非常に気に入りました。
あとがきには、角田氏にとっての《世界図書館》は子どもの頃よくお母さんに連れられていった横浜(伊勢崎町かな)の有隣堂、とありました。そう、書店は知識と興味の宝庫であり、そこは世界とつながっているのです。そんな子ども時代を過ごしてきた角田氏をうらやましく思います。
このあとがきもなかなか良かったですね、『初バレンタイン』 話そのものはちょっとイマイチだけど、この話に出てくる初めてのバレンタインでチョコの代わりに恋人に贈った本、の題名は最後まで出てこず、非常に気になっていたところあとがきにその答えらしきものが。ハッキリとは書いてないけれどそういう意味であとがきを書いたのだと信じております。
なるほどね…この本私も小学生のとき母が買ってくれて読んだけど、その時はあまり面白いとは思わなかった。高校生の時友達からも誕生日プレゼントにもらったけどちゃんと読まなかった。ということでうちにも同じ本が2冊あります。
でも最近新訳も出るほどちょっと話題だし、久々に読み返してみようかな。
という本の題は 『星の王子様』 です。