終戦のまさにその日の朝、焼け野原の東京から故郷広島に汽車で向かったぼく。悲惨で過酷な戦争の現実から断絶された通信兵としての任務は、ぼくに虚無と絶望を与えるばかりだった。滅亡の淵で19歳の兵士が眺めたこの国とは何だったのか。広島出身の著者が伯父の体験を元に、確かにあったあの戦争を描く。
(西川美和)1974年広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。映画監督、作家。映画作品に 『蛇イチゴ』 『ゆれる』 『ディア・ドクター』 『夢売るふたり』 。
西川美和監督が大好きなので、新作小説も読みました。正直なところ若干ぼやけるというか、よく伝わらなかった。伯父の戦争体験を描いた作品、として桐野夏生の 『玉蘭』 を思い出しましたが、あそこまでのインパクトは残念ながら感じませんでした。しかし先の戦争は確実にあったことであり、それを体験してきた人々がいること。そのことを私達戦争を体験していない世代は決して忘れてはならない。という西川監督の想いは、伝わりました。
評価:



(5つ満点)
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