鎌倉の片隅でひっそりと佇むビブリア古書堂。店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性。初対面の人間とは口もきけない人見知りだが古書の知識は並大低ではない。本に対し人一倍の情熱を燃やす彼女の元にはいわくつきの古書が持ち込まれることが多い。彼女は古書にまつわる謎と秘密を名探偵のごとく解き明かす。北鎌倉の古書店を舞台に、アルバイトとして人見知りの美人店主と店をやりくりすることになった主人公、五浦の視点から、古書に関わる様々な事件を描く。
(三上延)1971年横浜市生まれ。武蔵大学人文学部卒業。ライトノベル作家。『ダーク・バイオレッツ』 で電撃小説大賞三次選考を通過し同作でデビュー。本書で2012年本屋大賞にノミネート。主な著書に 『ダーク・バイオレッツ』 シリーズ、『偽りのドラグーン』 シリーズ。
友人さつきさんが、中学生の息子さんが欲しいと言ったので買ったんだけど、かなり当たった~!と貸してくれた本書。巷の話題に上っていたので大喜びでお借りしました、いつもありがとうございます。作者の経歴を見ると分かるようにライトノベルなのですが、古書に関わる謎の組み方はなかなか秀逸でよくできてます。古書には人の想いが宿る、というテーマに沿い、必要以上に入り組んでないところがまたいいです。

こうしたライトノベルが売れるか否かの大事なポイントの1つは、、表紙を初めとする挿画だそうですが、この本ももれなく表紙のイラストは、美人古書店主である栞子(しおりこ)さんがどーんと出てます。栞子さんは、この人です。このイメージです。でなくてはなりません。こりゃあ美人…アルバイト青年 五浦くんじゃなくてもクラッと来るわ。
ビブリア古書堂は両親(父は他界、母は失踪)の遺した古書店を、高校生の妹を抱えながら切り盛りする26歳位の店主 栞子さんと、その栞子さんに惚れちゃってたまたまアルバイトをすることになった無職(じゃなくて求職中)の青年、五浦くんの物語。多分こういう姫と侍従、みたいな設定もライトノベルのお決まりなのかも?いわゆる 『萌え』 ってやつですかね(←自分でも分かってない)。古書に関わる謎も、よくこんな古い本知ってるなーと作者の目の付け所には驚かされ、楽しませてもらえます。章ごとに古書に関わる事件が起こり、それを栞子さんが解決していくのですが、事件が解決する毎にそれまで孤軍奮闘だった栞子さんにも徐々に仲間が増え、確実に周囲との絆が深まっていくという物語。いい話だー。
さらに話は進むと10数年前に失踪した彼女と妹の母親との確執が、徐々に明らかになっていく模様です。古書に関わる謎と、美人の謎多き店主 栞子さんの秘密を暴く、という2本立てのストーリーで楽しめる、本好きにはお得なシリーズ。これからの続きが楽しみです。
評価:




(一応五浦くんとの恋愛模様もありますがそれはあんまり注目せず、笑)
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