『死んでゆく子どもは、死んでゆく大人よりもずっと大切だったから…。』 愛する者を失った悲しみを乗り越えてゆくとはどういうことか。表題作を含む5つの短編集。
収録作品:かなしぃ。/詩人の恋/セイロンの三人の王子/1989、東京/そらいろのクレヨン
ラジオの朗読番組でこの 『そらいろのクレヨン』 を読んでいたそうです。そこで私も読んでみました。一番良かったのは 『そらいろのクレヨン』 ですね。次は 『1989、東京』 かな。 『かなしぃ。』 もよかったけど、あとはちょっと仕掛けに懲りすぎて、更に 『セイロンの三人の王子』 なんて題名に懲りすぎて、印象としてはあまり良くないですね。題は大事ですがあまりにも凝った題だと題だけ浮いちゃいます。
●そらいろのクレヨン
この本に収録されている5作のうち、一人称がきちんと表現されているのは本作でした。あとの作品はどうも聞いた話、という印象。
子どもを亡くすということ。それを受けとめなくてはいけない現実。そしてそれを抱えながら今日も生き抜いていかなくてはならない、という現実。つらいテーマですが、亡くなった子どもは確かに家族の一員として存在していた。そして今も心の中に存在しているのだ、ということを教えてくれる作品です。
読んでいると悲しくて、あまり感想は書けません。
●1989、東京
今回はこれが一番現実味があったというか、私の理解しやすい世界のような気がしました。どんな人でもどうしようどうしようと悩みながら生きているのかもしれないなぁ、と何につけこの頃悩んでしまう私には、ちょっとホッとする話でした。
蓮見圭一という作家は初めて読みましたが、一人称の書き方がちょっとハッキリしないところがあんまり私好みじゃないですね。でも自分ではなかなか手に取らない作家の本を読むのもたまにはいいと思います。
評価:



(5つ満点)
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