ミロスラフ・サセックによる、『ジス・イズ』 シリーズの復刻版。1964年初版の 『アイルランド』 、1961年初版の 『ヴェニス』 。いずれも著者が実際に世界各国の都市を旅しながら描いたとされる、1950〜60年代の様子が見えて楽しい一冊。巻末には現在である2005年との違いを解説。
【ジス・イズ・アイルランド】
アイルランド。イギリスとの長い戦いの歴史しか知りませんでしたが、そこは緑の多い美しい島だそうです。しかし厳しい自然環境から
『人よりも牛が多く暮らす土地』 と言われ、多くの侵略戦争と2度の深刻な飢饉による過疎化を乗り越えて、人々は暮らしているそうです。
アイルランドのシンボルは、多くのキリスト教(カトリック、プロテスタント)の教会、ハープ、気まぐれな天気、小さな妖精、そして三つ葉(クローバー)のマーク。またアイリッシュウィスキー、アイリッシュコーヒー、ギネスビールなど嗜好品でも有名です。アイリッシュパブ、と呼ばれるパブのスタイルが確立したのもアイルランド。しかし多くのアイリッシュ人は禁酒主義であり、パブでもソフトドリンクだけしか飲まない人も多いとか。
評価:




(5つ満点)
ロンドン、パリの絵本を見た後でこの絵本を見ると、アイルランドはいかに厳しい自然の中、人々が苦労して生き抜き、幾度かの侵略や飢饉などの危機を乗り越え、いかに質素に暮らして来たかが伝わってきます。ただ楽しいだけのサセックの著作だと思っていたのですが、いい意味で裏切られました。
知っているようで知らない土地、こうした絵本で学ぶことも多いです。
【ジス・イズ・ヴェニス】
アイルランドの色彩とうって変わって、こちらは明るい色彩です。陽気なイタリア人の国、ということもありますが、運河をわたるゴンドラ、華やかなサンマルコ広場、優雅なゴシック様式の宮殿、石作りの橋など、すべてが海の上に存在する街、ヴェニス。いつかはこの街は海に沈んでしまう運命にあると聞きます。
迷宮のように入り組んだ街、しかも出口は海を渡るしかない街。多くの芸術家が憧れた理由がそこにあるのでしょう。
ジス・イズシリーズ、今回も図書館の自動車文庫で借りましたが、オンライン書店でまた新しい2冊を発見しました。 それも近々見られるかな?楽しみです。
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