人間とロボットが共生する近未来。最強であり誰よりも自然を愛していたロボット、モンブランがスイスで殺された。同じ頃ドイツのロボット法擁護団体の幹部が殺害される。二人の遺体の頭部には 『角』 の様な装飾が施されていることからユーロポールが誇る高性能刑事ロボット ゲジヒトは同一人物による犯行と考え捜査を始める。ゲジヒトは徐々に犯人の標的が自分を含めた、世界に7体しかない大量破壊兵器になりうる高性能ロボットであると気付く。敵の正体とは、その目的とは一体何なのか。原作を手塚治虫 『鉄腕アトム 地上最大のロボット』 とし、手塚作品へのオマージュとしてリメイクされた作品。
(浦沢直樹)1960年東京都生まれ。明星大学経済学部卒。『YAWARA!』 で第35回小学館漫画賞、『MONSTER』 で第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第3回手塚治虫文化賞マンガ大賞、第46回小学館漫画賞、『20世紀少年』 で第25回講談社漫画賞、第6回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第48回小学館漫画賞、本作 『PLUTO』 で第9回手塚治虫文化賞マンガ大賞、第7回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。代表作は何と言っても 『MASTERキートン』。
手塚治虫の 『鉄腕アトム』 を原作とし、監修に手塚真を迎え、手塚プロダクションの全面的協力で浦沢直樹が描く新しい 『鉄腕アトム』 。アトムを始めとするキャラクターデザインやストーリー設定の一部には浦沢のアレンジが加えられ、主役には原作では脇役のドイツの刑事ロボット、ゲジヒトとしている点など、斬新な切り口と魅力あるキャラクター、そして 『ロボットの人権』 という大きなテーマを捉え直し、改めて新しい作品として描かれた注目作です。
連載前から話題に上った本作ですが、連載後も好調のようです。あまり作品が世に出るまでの背景などは普段気にしない私ですが、この作品だけは対談などあると必ず読んでしまいます。
評価:





(いつでも貸出可です)
浦沢氏と手塚真氏の対談はもちろん読んでいますが、手塚氏の解説にこうありました。
『最初は浦沢さんにも遠慮か手塚治虫への思いがあったのか、一番初めに拝見したゲジヒトやアトムのキャラクターは手塚作品によく似通っていた。僕は連載を始める条件として、浦沢さんのキャラクターとストーリーで描いて欲しい、と注文を付けた。これがかなり浦沢さんを苦しめたらしいが、結果として素晴らしい作品を世に出すことになった。』
そうなんです。アトムが出てきたときの衝撃は、全ての読者が 『おおっこれがアトム!』 だったと思います。ウランもすぐに出て来ます、可愛いです。各キャラクターの細かい人物設定(性格、仕事、家庭)も楽しめます。また時代背景も世情に沿ったものとしている所も興味深いです。
ロボットはどこまで人間に近づけるか。逆に言えば、平気で他人を傷つけるなど人間が今人間らしさを失いつつある世の中で、この作品が訴えることは大きいと思います。
でもこうしたことを抜きにしても、やっぱりこの作品は面白いです!月1回連載なのでなかなか進みませんが、単行本でゆっくり楽しんで行きたいと思います。
ちなみに画像は1巻豪華版で、オマケとして手塚治虫 『地上最大のロボット』 が雑誌サイズで付いてます!こりゃー絶対買うしかない!と必死で(?)手に入れたものです。現在3巻まで出てますが、2、3巻は通常版を買ってます、あしからず。
PR