戦国末ローマから日本に帰国した天正遣欧少年使節を待っていたのは禁教だった。4人の中でただ1人信仰を捨てた千々石ミゲル。彼はなぜ信仰を捨てて生きようとしたのか。ミゲルの苦悩の生涯をその妻の目から描く。松本清張賞受賞作。
(村木嵐)1967年京都府生まれ。京都大学法学部卒業。故司馬遼太郎夫人の福田みどり氏の個人秘書を務める。本作で第17回松本清張賞受賞。
マルガリータとは、真珠のことです。
歴史小説は正直苦手であまり読まないのですが、これはすごくスイスイ読めました。著者 村木氏はずっと司馬遼太郎氏の秘書を務め、司馬氏の死去は奥様の秘書を務めてこられた、という方ですが、司馬遼太郎は読めなくても村木嵐は読めます。次回作も楽しみです。
歴史小説ではありますが、その読みやすさは主人公を少年使節だったミゲルの妻 珠を語り手にしたところが大きいと思います。珠の目から見たミゲル、少年使節、人々とキリシタン信仰、政治に翻弄されるキリシタンらの苦悩を描いており、そしてそれらよりも当然重点を置かれるのが、珠のミゲルに対する想いだからですね。
珠は幸せだったのか?それは誰よりも珠自身がよく、分かっていることなのかもしれませんね。歴史を愛することは人を愛することである。司馬遼太郎を読んでみるかな(でも多分読まないけど)。
歴史小説っぽくなくて、オススメです。
評価:




(5つ満点)
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