たった1人の絶対専制君主が支配する30世紀の国家。自分と同じ姓を持つ国民が500万人を超える、という事実になぜか憤慨する専制君主 『王様』 は、彼らを虐殺するべく恐るべき 『殺人ゲーム』 を思いつく。それは 『リアル鬼ごっこ』 と命名された。
(山田悠介)1981年神奈川県生まれ。2001年のデビュー作である本作がベストセラーとなる。
正直題名と題材がいいだけに、もったいないの一言。文体が何というか若すぎるというか、子どもの書いた文章みたい。ハッキリ言ってこれは担当編集者がもっと作家に校正させるべきではなかったのか?と思うくらい、文章が甘い。
(とここまで書いたが、どうも本作は自費出版という話もあります。それなら担当編集者がいないのでしょうか?)
あと時代設定と考証が悪すぎる。30世紀という設定だが、30世紀なら政治はすべてスーパーコンピュータ(ともう言ってはいないだろう)が行っているはずで、この本の設定のようにたった一人の専制絶対君主が全ての法律を定め、判断するというこということ自体、ありえない。たった1人が法律を定め、それに対する査問機関もない、なんて時代が今後来るとは絶対にあり得ない。せめて時代設定を2020年位にしたらもう少しリアリティが出たのに。そう、リアリティのない小説が嫌いなのです。
リアル鬼ごっこを通して主人公 翼は多くの人との別れを体験しますが、それの描き方も甘い。余りにも甘いので、もしや最後大ドンデンが待っているのでは!とすごい期待していたら…
予想していたうちの
『一番最悪』 な結末が待っていた。つまり、一番こうなるだろうと簡単に予想がつくパターンで、一番つまらない終わり方。
あああ~。素材がいいだけに勿体なさすぎる。デビュー作とは言え、推敲が足りなさ過ぎる。次回作に一応、期待。
評価:


(5つ満点)
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