ひとりの女が日本人外交官と一緒にニューヨークで事故死した。かつて女の友人であった3人の女にだけはこの事故の意味が理解できた。4人の女の高校時代からの交流を通じ、女であるがゆえの猾さや醜さ、哀しさを描く。産経新聞連載に加筆。
(大石静)1951年東京都生まれ。日本女子大学文学部卒業。脚本家。NHK朝の連続テレビ小説 『ふたりっ子』 で向田邦子賞と橋田賞・脚本賞を受賞。主な著書に 『わたしってブスだったの?』 など。
一体どんな嘘が隠されているのか?と期待して読み進めていくうち、だんだん終盤に近づき、一体何が嘘なの?と思っていたら…え?終わり?私が読んだ限りでは嘘なんてどこにも出てこなかったけど?ということでタイトルは 『四つの真実』 の誤りでは?
一人称で語られる4人の分け方がイマイチ明確でないように感じてしまう。一人ひとりのキャラクターがしっかりしていないため、それぞれの人物像が最後までつかめなかった。私立女子高に集った4人、そのうち3人の娘達までもが同年齢でまたまた同じ女子高に通っているが、これをただの偶然としてしか描いていないのが相当不自然に思えてしまう。なぜ日々の生活にも困っている詩文の娘である冬子までが、私立校に通っているのだろう?
ネリと詩文、ネリと満希子、満希子と詩文。それぞれの絡みも割とアッサリしているので、満希子の日々の生活への不満も詩文の人生に対する不安もネリの自立の裏側にある不安定さも、どれもイマイチ中途半端に感じてしまい伝わってこない。
『河野と死んだ美波に詩文は嫉妬ではなく強い羨望を感じた』 この一文だけではどんな羨望か分からず、それがラストに解明されるのかと期待していたのだが。
せっかくの複雑な人間関係があまりにアッサリした描写だけで過ぎて行き、これはもしかして最初から映像化を考えていた脚本のつもりだったのかなと思ってしまった。ドラマを見ておけばよかった、残念。
評価:



(ふたりっ子には熱狂したなぁ)
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