高校時代清(きよ)は部活動のバレーボールに打ち込んでいた。熱心な余りに出てしまった一言が事件を巻き起こし、そこから清は全ての夢を諦め、地元の大学の文学部を卒業し国語教師として海の見える高校に赴任する。無気力な彼女に命ぜられたのは部員がたった1人しかいない文芸部。学校の図書室での2人の部活動を中心に育まれていく、傷ついた人々の心の交流と再生を描く。
著者である瀬尾まいこは実際に中学校で講師として教鞭を執っている先生だそうです。新刊が出るたびにダ・ヴィンチに写真が載っていますが、確かにのんびりした可愛い先生って感じ。ダ・ヴィンチ連載のエッセイも学校での出来事を中心に気負いなく書かれており、素のまんまこういう人なんだろうなぁ、と感じさせられる人です。それにどんなに本が売れても自分は教師を辞めないだろうと言っていた。いいなぁそう言い切れるのも。
だからあのほんわか先生モードが彼女の演出だったらかなりショックだなぁ(笑)。
舞台は学校ですが決してさわやか青春物ではなく、青春の代名詞である運動部での部活動でそれぞれ傷ついてきた清と文芸部部員の高校生が、それぞれの過去とはおよそ縁遠かった文芸部(図書館)という場所で出会い交流する、という物語。清の人生は高校時代から散々で、高校教師になってからも不倫はしてるわそれにも恵まれないわ、傍から見ていると若いくせに不運どん底のような毎日なのですが、それでも毎日を生き抜きいずれ再生への道を歩き始めようとするのは、周囲の温かい人々のおかげなのでしょうね。
それが時々訪ねてくる弟だったり、高校の同僚だったり、高校時代清が起こした事件の被害者(と言い切っていいものかどうか)の遺族だったりするのですが、そこへ文芸部の生徒である高校生の男の子とのやりとりが微妙なところ。不思議な関係です。
人は意識しないうちにお互いに影響を与え合って生きているものなのかもしれません。それに気づかせてくれたのが、図書館の神様。
ということで。
評価:




(ちょっとオマケ)
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