富士の樹海に現れた男の導き、死んだ彼女と暮らす若者の迷い、命懸けで結ばれた相手への遺言、一家心中で生き残った男の記憶。心中をテーマにした短編集。小説新潮掲載を単行本化。
(三浦しをん)1976年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。『まほろ駅前多田便利軒』 で直木賞受賞。主な著書に 『秘密の花園』 『光』 『三四郎はそれから門を出た』 など。
(収録作品)森の奥/遺言/初盆の客/君は夜/炎/星くずドライブ/SINK
テーマは心中。脱力系短編集かと思いきや、以外と骨太でした。しをんちゃんは本当に巧いです。
『光』 を思い出させる、男と女のドロドロした情愛を綴った 『君は夜』 がベストですね。一人称で綴った 『遺言』 、霊が出てくる 『初盆の客』 『星くずドライブ』 、2人の少女の複雑な感情を描いた 『炎』 と、バラエティに富んだ短編集で大変お買い(お読み)得です。
毒がありながらありすぎない、人への愛情が感じられるしをんちゃんの作品、次回作も楽しみです。
評価:(5つ満点)