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家守綺譚*梨木香歩

img20061227.jpg時は明治の頃。亡き友である高堂の父親に頼まれ、彼の家に留守番として住むことになった学士 綿貫征四郎。疎水の水が流れ入るこの家の池には河童や人魚が流れ着き、白木蓮の蕾は竜の仔を孕み、サルスベリには懸想される日々。そして雨と共に、床の間の掛け軸に描かれた湖からボートに乗って、亡き友 高堂は当たり前のような顔をしてしばしば帰って来る。周囲に渦巻く天地自然全ての 『気』 と綿貫の交歓の記録。書き下ろし。
(梨木香歩)1959年生まれ。児童文学者のボーエンに師事。 『西の魔女が死んだ』 で日本児童文学者協会新人賞、『裏庭』 で児童文学ファンタジー大賞を受賞。主な作品に 『エンジェルエンジェルエンジェル』 『沼地のある森を抜けて』 『村田エフェンディ滞土録』 『春になったら苺を摘みに』 絵本に『ペンキや』 『マジョモリ』 『ワニ』 『蟹塚縁起』 など。


随分前に 『超オススメ!』 と強力オススメを頂いたにも関わらず、読むのがすっかり遅くなりました。というのも雑誌 yom yom にこの続編が載っていたのがきっかけで思い出したのです。最初の短い一節を読んでこれは!と思いました。
そして、見事アタリです。

主人公は作家(もどき)である綿貫征四郎。友人であった高堂は湖でボートに乗っているうちに行方不明になり死亡とされたが、彼の遺体は未だ上がって来ない。

文学で身を立てたいと思いつつも思うようにならない日々を過ごしていた綿貫の元へ、高堂の父親から自分は娘の家に行くので代わりに古い家に住んで、家守をして欲しいと頼まれる。家賃は不要、貧乏な綿貫には渡りに舟。そこで高堂の家へ来たのだが…。

評価:(5つ満点)

というお話。
来た早々、綿貫は庭のサルスベリの木に 『懸想』 されます。つまり惚れられちゃう。綿貫が詩や自作の小説を読んでやると嬉しそうにするって…自分も懸想されて結構まんざらでもない様子。その辺がちょっと可笑しい。

この本は時代設定が明治のためちょっと難しい言い回しが出てきますが、それがまたこの本の雰囲気を一層盛り上げています。どこからともなく現れ、家に住み着いた犬のゴロー、ゴローを可愛がり何かと世話を焼く隣のおかみさん、このおかみさんもまた面白い。

河童の抜け殻?が庭にあり、初めて見た綿貫が捨ててしまおうか思案していると、隣のおかみさんがやってきて、こんなに見事な抜け殻は見たことがないからそのまま取っておけと言う。様々な怪現象に慣れつつあった綿貫も、おかみさんが河童の抜け殻まで知っていることに驚き問い質すと、おかみさんは 『そんなことは知っていて常識』 だと言う。おかみさんも実はキツネとかだったりして…いや河童かも…(笑)。

その他、人魚に狸(綿貫は何度も化かされる)、寺の和尚(本当は狸かも)など多彩な顔触れ、そして当たり前のように掛け軸の中から戻ってくる、死んだはずの友人 高堂。彼は湖の底に住むと言う。それはどんな所なのか?

元来、日本人は全ての生物である動物や植物に 『気』 を感じ、それらの助けを借りながら生きて来た、ということを思い出させてくれる本です。
フィクションでありながら、どこか懐かしさを感じさせる不思議な感覚の小説です。

(おまけ) 文中、土耳古(トルコ)に研究にいった村田という綿貫の友人の名が何度も出てきますが、これは 『村田エフェンディ滞土録』 の主人公ですね。これも読まなきゃっ。

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Comment

ゴロー

  • 小琴
  • 2007-03-01 11:53
  • edit
AKMさんから
“西の魔女~”を教えてもらって
以来、すっかり
梨木さんに取りつかれてしまっています。

私は 犬のゴローを飼うことになるいきさつのあたりで
非常に感動したのですが....。

「村田エフェンディ~」も
是非どうぞ!!

ヤモリ

  • AKM
  • 2007-03-01 11:53
  • edit
こちらこそ年初めからいい読書ができて、
小琴さんのおかげです。
ありがとうございます。

書き忘れてましたが、私は夢の中で綿貫が
『おまえは本当は家守(やもり)なのだよ』
と囁かれてハッと目覚めるシーンに、
妙に心惹かれました。
もしかするとこれはヤモリの妄想?
を書いた話なのかもしれない。
と思ったりして。

ゴローもスゴイですよね、
『仲裁犬』 ですもの。
とにかくこの本は、
日本人で四季のうつろいを愛する人に
強力オススメしたいです。

『村田エフェンディ』 もオススメですか!
読まなきゃ読まなきゃ。
『裏庭』 『春になったら苺を摘みに』
の文庫本も買ってしまったので
また、積読~!
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