死の商人モーリスが扱っていた最後の商品『小型核爆弾』はモーリスの失踪と同時に行方不明になっていたが、モーリスの死体が東京で発見されたと同時にそれを狙う国際テロ集団や某国家のエージェント達が動き出す。日本政府(島津)より依頼を受けた冴木インヴェスティゲイションは調査を開始。今回も涼介親父のエージェント時代のコネに隆君の冴えまくりのカン総動員で迫り来る敵をバッタバッタとなぎ倒し、隠された核爆弾の在りかに迫る。
と変わらずでき過ぎな内容は十分エンターテイメントとして楽しめます。敵が複雑になればなるほど涼介のエージェント時代の知識やコネが生きてきて、隆君と一緒に読者も感心しきり。それにしても本当にエージェントだったら引退して民間人として生きるなんて絶対に許されないことだと思うんですけど、そこがご愛嬌でしょうか。
今回も人質になった隆君を助けるために涼介は島津さんから借りた銃をジャカジャカ撃つ、島津さんもよく貸すもんだ。 『責任は私が持つ』 とか言っちゃって。島津さんの部下達も 『伝説の冴木さんとご一緒できて光栄です』 なんて言ってるし。ここまでできれば完璧でしょう。
今回は更に読者サービス満載。
新宿歌舞伎町を歩いている隆君が喫茶店の前でふと思い出す。 『目撃者のいるところで中国マフィアが公然と日本人やくざに牙をむいたという点で「歴史的な」事件だった』 これは 『砂の狩人』 ですね。
更に 『学校の先生の従弟だかはとこが新宿警察署にいるが出世を諦めた「変り者」だと言っていた。』 って 『新宿鮫』 ですねぇ。更には涼介親父が島津さんに 『鮫でも核爆弾には勝てんだろうしな』 とつぶやいて 『なんだって?』 と聞き返されるシーン。島津さん新宿鮫読んでないのか?ダメじゃん。
とサービス満点でお送りしています。過剰な気もするけど…(笑)。
ちょっとズルイなと思ったのは涼介も隆君もコンピュータに弱いと言う所。今時インターネットを使っていない探偵はいないと思うのですが、それで面倒な点を省いている大沢先生ちょっと手抜きですよ。願わくはもう少し隆君にはコンピュータに強くなって頂き、21世紀も営業を続けて行って欲しいものです。
次回作はいつ?