高校に入ったばかりの『にな川』と『ハツ』はクラスの余り者同士。ハツはモデル出身のアイドルに熱狂するにな川の観察を続けるうちに深く彼と付き合うようになり…。人と関わるのが下手な10代同士の奇妙にも不可思議な関係を描く文芸賞受賞作。
同じく文芸春秋3月号掲載の芥川賞受賞作です。 前作 『インストール』 も気になる作品だったのですが未読のまま本作を読みました。
蜷川を 『にな川』 と表現したりする辺りも面白く全体的にいい作品だと思いましたが、表現に気を配る余り肝心の主人公ハツの心の機微が表現し切れていないように感じたのがやや残念です。
金原作品と同じく十代の昇華し切れない感情をテーマとしている点で評価を受けた作品と感じます。やはり若い作者自身の持つ感性が活きているのでしょう。ただ、これからハツはどこへ向かうのか、それが感じ取れない点でやや後味の悪さを感じました。それが作者の狙いなのかもしれませんが。
余談:にな川が夢中になるモデル『オリチャン』なぜか長谷川●子をイメージしてしまいました。
評価:



(5つ満点)
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