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逆回りのお散歩*三崎亜記

確かに起こったはずなのにそのデモは無かったことにされてしまった。ネットでの炎上、ステルスマーケティング、ネット右翼。市町村合併を巡って自治体における市民の 『見えない戦争』 が始まる。『となり町戦争』 前夜を描く 『戦争研修』 も併録。『すばる』 『小説すばる』 掲載 『統合前夜』 を改題、単行本化。
(三崎亜記)1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。『となり町戦争』で小説すばる新人賞受賞、第133回直木賞候補作。主な著書に 『失われた町』 『鼓笛隊の襲来』 『廃墟建築士』 『海に沈んだ町』 『コロヨシ!!』 。
(収録作品)逆回りのお散歩/戦争研修

逆回りのお散歩
今回の作品でも西域とか居留区という言葉は出てきますが、雰囲気はかなり私達が現実に生きている現代社会に近いです。普通の小さな市が、隣の市と合併をする。入り乱れる賛成派と反対派。それぞれの主張はどうも噛みあわない…。

反対派は地道に集会を企てデモを行うも、行政の巧妙な手口によりそのデモは 『なかった』 ことにされてしまう。人々の憤りはやがてどこへ向かうのか。私達は知らず知らずのうちにこの物語の市民のように、何も分からないまま自分達の意識すら持つことも許されず、ただ流されてはいないでしょうか?かつて地方公務員であったという著者 三崎氏の、市町村行政への思いがより強く込められた作品という思いがします。

でも、ラストの裏切りがやっぱりやるせなく、読後感は悪いです。

戦争研修
対してこちらの方が爽やかな感じ。三崎氏のデビュー作にして最高傑作(だと今でも思う)『となり町戦争』 の戦争前夜を描いた作品。あの、戦争推進室(だったっけ?)の香西さんが戦争のための研修に行く物語。

香西さんも戦争をしたくてしていたわけじゃないことはよく分かっていたけど、どうもあの感情のない人形のような香西さんがどうやってできあがったのかが不思議だったので、また香西さんに会えてその謎が少しは解けたような気がします。

自治体の活性化のための、戦争事業。そのバカバカしいほどの響きに、著者の行政への痛烈な批判を感じます。

評価:(5つ満点)
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