大学4年生の小笠原はマンドリンサークルに所属している。就職活動に熱心な同級生をよそに未来になどは興味がない。就職活動よりも人間関係よりも趣味のマンドリンに命をかけている。小笠原が求めるのは音楽性の高さ、そしてそれを共に理解してくれるはずの、好きな男。極端に対人関係が苦手の大人になりきれない少女を描いたほろ苦い物語。
(山崎ナオコーラ)1978年福岡県生まれ。国学院大学卒業。『人のセックスを笑うな』 で文芸賞を受賞。 主な著書に 『浮世でランチ』 『指先からソーダ』 など。
既読2冊に比べるとだいぶ小説らしくなったもののイマイチ全体的に 『浅い』 イメージしか湧かなかった。
小笠原が好きだった田中のDSをゴミ箱に捨てて初めて、彼に対して消化しきれない想いを抱えたいたことが分かる、つまりそこまで小笠原の感情の起伏がほとんど伝わってこない。山崎氏の描く主人公たちはみな感情の起伏に乏しく、若いというのに半分死んでる感じ。現代の若者の無常観、無気力を表現したいのかなと思いきや、小笠原はマンドリンサークル内での自らの地位、コンサートミストレスやパートトップの座に異常にこだわりを見せており、そういうことでもないらしい。
もっと強い意志を見せて欲しい。
しかしながら学業よりもサークル活動に重点を置いてしまう学生、の描き方はなかなか秀逸です。こういう方は確かに私の時代もいました。人生はバランスが大事かと思いますが、現代社会に生きるって学生であろうと社会人であろうと、難しいということでしょうか。
評価:



(5つ満点)
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