生き抜くために忌まわしい記憶の残る地獄島との関係に決着をつけた水原。しかし彼女自身が巨大な陰謀に利用されていたことを知る。逃げた韓国で知り合った中国の女性捜査官、白理とともに日本に戻った水原は、真実を暴く戦いに挑む。 『魔女の笑窪』 続編、『週刊文春』掲載を単行本化。
(大沢在昌)1956年名古屋市生まれ。慶応義塾大学法学部中退。『感傷の街角』 で小説推理新人賞を受賞しデビュー。『深夜曲馬団』 で日本冒険小説協会最優秀短編賞、 『新宿鮫』 で日本推理作家協会賞長篇賞、吉川英治文学新人賞、「新宿鮫 無間人形」で第110回直木賞、 『心では重すぎる』 で日本冒険小説協会大賞、『パンドラ・アイランド』 で柴田錬三郎賞を受賞。
『魔女の笑窪』 から約2年。久々に水原に会えて嬉しいです。久々の大沢作品、そして久々に息もつかせず一気2日読了でした。やっぱりエンタメ文学は大沢在昌だ!
前作 『笑窪』 で地獄島を爆破した罪を被り、水原は国外へ脱出、釜山へ逃亡する。だがその事件そのものが周到に組まれた罠でそれに自分が嵌められたことに気付いた時、 『借り貸しは必ず返す』 信条の水原はもう止まらない。
日本の広域暴力団がシノギを削る世界に、それにとらわれない、より強力な結びつきを持つ暴力集団が出てきたらどうなるか?日本で韓国の民族マフィア構想があり、水原はそれに巻き込まれていた…というストーリー展開はやはりお見事。相も変わらず警視庁、公安、果ては中国国家公安まで巻き込んでの丁々発止の攻防は今回もスゴすぎます…。
水原に平穏な日々はやはり永遠に訪れないのだろうか?ラストがまたしても(続く。)の予感。オカマの星川、運転手兼秘書の木崎という盟友も戻ってきたし、まだまだ水原の活躍が見られそうです。
評価:(5つ満点)