植物園の園丁は椋の木の巣穴に落ちる。巣穴の中には不思議な世界が広がっていた。前世は犬だった歯科医の家内、ナマズの神主、烏帽子を被った鯉。植物や地理を豊かに描き、埋もれた記憶を掘り起こす異界譚。
(梨木香歩)1959年生まれ。児童文学者のボーエンに師事。 『西の魔女が死んだ』 で日本児童文学者協会新人賞、『裏庭』 で児童文学ファンタジー大賞を受賞。主な著書に『からくりからくさ』 『エンジェルエンジェルエンジェル』 『村田エフェンディ滞土録』 『春になったら苺を摘みに』 、絵本に 『ペンキや』 『マジョモリ』 『ワニ』 『蟹塚縁起』 など。
非常に不思議な雰囲気の物語。家守綺譚に通じるものもあるようで、もっと奇妙な物語。
植物園に勤める佐田は妻に先立たれ下宿屋で独り身で暮らしている。寂しいはずの毎日だが淡々と暮らしている様子。そんな佐田が心を傾けているのは園内の一角の調整で…そこに大きなウロがある。ふるやのもり、で猿と泥棒がしっぽを引き合ったウロのようなイメージ?
前世犬だったという歯医者の奥さんやらおかしな異形のものばかりが出てきてどうなるやら…。正直雑多な感がするものの、ラストは清々しい。
評価:(5つ満点)