名前をエリスと変えレジスタンス活動に加わったラヘル。スパイ活動を続けていくうちに、かつて自分と自分の家族、多くのユダヤ人達を襲ったナチス将校を突き止める。だが彼に自分達ユダヤ人の情報を売った者がいることにも同時に気付くのだ。
レジスタンスの中に潜むスパイ、スパイのスパイ、一体誰が味方で誰が敵なのか。その手がかりとなるのが、一冊の黒い手帳 【ブラックブック】 だった。次から次へと出てくる怪しい人物、一体誰が本当の黒幕?目まぐるしく展開します。
ラスト近くでエリスとレジスタンスのリーダー、カイパールが一連の事件の黒幕を突き詰め、彼を窒息死させる場面で
『本当なら(フタを)開けるべきよね』
『そうだね』
と2人で語るシーン。
人として、人道的な面から取るべき行動は分かっている。でもその道を取らない。善も悪も全ての人の心を狂わせる戦争。
イスラエルに渡り、キブツで暮らすエリス(ラヘル)の回想としてこの映画は描かれているが、こうして幸せな暮らしを得たラヘルにとって、オランダでの迫害、レジスタンス活動は何だったのだろうか。忘れたくても忘れられない、愛する家族を奪った戦争と迫害。正義のために集まったはずのレジスタンス達の中に潜むスパイ。
戦争という大きな惨事ですら、個人の私利私欲が招いたものだとするならば、戦争がなくなる時代はいつになるのだろうか。