もちろん母である深津絵里もとてもいいです。原作では母の名前もルートの本名も最後まで出てこないところが物語に一層深みを与えているわけですが、今回もそれはちゃんと踏襲されています。一瞬だけ博士の義姉が母の名前を呼ぶシーンがありますが、よく聞こえなかった。でも聞こえなくて良かった、と私は思ってしまいました。
今回の映画の見所は原作とは異なるエピソードも多々盛り込まれている部分にもあります。
博士が家政婦の子どものルートの安全に、異常なまでに気を配る理由。
義姉と博士の抱える秘密と後悔。
そして舞台を原作とは異なる信州 長野に移し撮影された、信州の移り変わる四季の美しい映像に心洗われます。久しぶりに、映像までもが美しい邦画を観たように思います。
皆さんにオススメですが、特に原作ファンは必見です。原作ではあまりよく分からなかった 『博士の愛した数式』 の意味が映画ではとても分かりやすくなっています。というか数学苦手だから読み飛ばしていたのかもしれない(汗)。
文庫も出版された原作、ぜひ買ってみて読んでみてください。手元に置いておいて損はない、小川洋子の最高傑作だと思います。
久々にもう一度観たい映画です。
数の不思議