夫と離婚し幼子を抱え生活に困る枝里。専業主婦を脱却したい奈保子。夫の浮気を知った朝美。恋、仕事、家庭と悩み多き女達の連作短編集が、最後にそれぞれの関係が明らかに。
(真田コジマ)1971年愛知県生まれ。 『アンクレット・タワー』でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞しデビュー。
(収録作品)偶然/遊戯/純愛/反目/秘密/不倫/再会/至福
小説で一番キライなのは夢オチ、その次は死にオチ。その次くらいにこの展開は…!!
という小説でした
なぜ各章ごとにシングルマザー枝里のストーリーと、ある食品メーカーに勤める男達3人のそれぞれの家族のストーリーが、交互に繰り返されるのか。あれだけ引っ張っといてオチがこれじゃあ…。
頭に来るというよりかなりガッカリしました。なんだ。って感じ。正直ここまで読んでかなり損した気分です。食品メーカーの家族のストーリーはまあまあなだけに、つまらない(失礼)シングルマザーの箇所を頑張って読んできたのに、ここまで読んでこのオチは…。こういう手法は人によっては目新しく面白いと感じるのかもしれないけど、私はやめてほしい。読者を裏切らないで欲しい。
評価:(5つ満点)
りっちゃんは病気のおかあさんのためにサラダを作ることにしました。するとのらねこや隣のいぬ、すずめなど色々な動物がやってきて、いろいろ入れるといいですよ、とアドバイスをくれます。りっちゃんのサラダはどうなるのでしょう。
(作者)角野栄子 (画)長新太
(テキスト)絵本よりワープロ打ち出し
ストーリーテリングに関する本を読んでいて、絵本として出版されている本作をおはなしとして語る、とあり、私もチャレンジしてみました。この作品を選んだ理由としては以下の通りです。
1) 小さい子にも分かりやすい短めのおはなしとして、絵本をお話として語るのは適当か
2) 絵本という作品化されているものをお話として語ってみると、絵本とどのような違いがあるのか
これらを体験してみたかったのです。あとは作者が角野栄子氏であることと、サラダが好きというのが選んだ理由ですね。
土曜日の図書館おはなし会でやってみました。子ども達は4歳~7歳、みんなよく聞いてくれました。おはなしを覚えるのも3作目、ようやく語りの場の雰囲気、語る側(私)と聞いてくれる側(子ども達)が一体となりお話を楽しむことがストーリーテリングである、ということがほんの少し分かりかけてきたような気がします。
というのも途中ちょっと詰まったりしたのですが、そっぽを向いていた男の子がこちらを向き 『それで?』 と促してくれたことで、ああやっぱりこの子は聞いてくれてるんだな、というのがしっかり分かったこと。じっと私を見て目をそらさない子が多いこと。集中している様子がよく分かりました。私も集中して物語に浸からなくては、としみじみ思ったのです。
決して上手な語り手ではない私が、語り終わった後に感じる大きな達成感、充実感はやはりお話、語りだからこそ得られるものではないかと思います。
今日のお話会ではやや長い 『まゆとおに』 も読みましたがみんなよく聞いてくれました。私が好きなお話を子ども達も好きになってくれる、というのは嬉しいことです。
あとは第2王子がもっと一緒におはなし会に来てくれて、大人しく一緒に楽しんでくれれば言うことなし…こちらはもう少し時間がかかりそうです。
江戸初期、若い男子ばかりが罹る流行病が流行し男子の人口が激減。治療法も分からぬまま80年余りが経過し男子の人口は女子の4分の1となった江戸中期。男子は生存率の低さから子種を持つ宝として大切に育てられ、女子があらゆる労働力の担い手となり家督を継ぐことなる。将軍徳川家も例外ではなく、3代将軍家光以降将軍職は女子へと引き継がれる。大奥は貴重な男子のうち美男3000人が選りすぐられ将軍に仕えるという、将軍以外の女人禁制の館となっていた。男女の立場が完全に入れ替わった男女逆転大奥を描く物語。第5回センス・オブ・ジェンダー賞特別賞、第10回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。
(よしながふみ)1971年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。漫画家。 『月とサンダル』 でデビュー。 『西洋骨董洋菓子店』 で講談社漫画賞少女部門受賞。主な著書に 『愛すべき娘たち』 『フラワー・オブ・ライフ』 『きのう何食べた?』 など。
将軍が女性になり、美男3000人が大奥を構成する。という突拍子もない設定であるにもかかわらず、中身は濃い作品。将軍家という権力を維持するために奔走し、また翻弄される人々を描いたヒューマンドラマです。若い男性だけが罹るという不治の病、そのために男子の人口が激減、江戸時代の日本はまさに 『種の存続』 のために男子が貴重とされた、という設定そのものがまずスゴイ。
1巻は 【暴れん坊将軍】 こと吉宗の時代。質素倹約を旨とした吉宗(女性)、彼女は粗末な木綿の紬に身を包み、贅沢華美な大奥の有様を嘆きながら、なぜ大奥が作られたのかに迫ろうとします。彼女自身の慣例をことごとく否定する暴れん坊ぶりも、側近である大岡越前や加納久通(いずれも女性)の丁々発止ぶりも小気味よく、見事です。そして吉宗は大奥が作られた3代将軍家光の時代の物語を聞くことになり…。
2、3巻は家光の時代。家光までは将軍は男性だった事実!流行病で後継ぎがないまま急逝した家光の死を隠すため、春日局が将軍として据えたのが、唯一家光の血を引くまだ少女であった娘だった。というすごい物語。将軍の影武者を置き、少女に男子の格好をさせ、そこまでしてなぜ将軍家を維持しようとするのか。家とは、国とは、戦乱のない世とは何か。その維持継続のために、個人はどこまで自分を犠牲にならなくてはならないのか。
などなど、なかなか考えさせられます。何よりもこの誰も思いつきもしない 【男女逆転大奥】 というアイデアと、それを奇抜なアイデアだけにせず、男女の持つジェンダーの違いを真摯に捉えた展開が素晴らしく、目が離せない作品です。
続きが早く読みたいけど、じっくりたっぷり読みたい。そんなマンガです。
評価:(愛読者多し)
畑中耕作は鳴り物入りでデビューを果たしたボクサーだが減量に対して極端に意志が弱く、毎回減量に失敗し試合結果は散々というスチャラカボクサー。ジムの会長を泣かせてばかり。修道院のシスターアンジェラに片思い中でシスターや修道院の院長らを悩ます日々。そんな畑中もボクシングを通して周囲の人々やシスターの想いを感じ成長していく。気になるシスターとの仲も進展?連載初出の1987年から約20年かけて2007年に完結。だが単行本は全4巻…。
(高橋留美子)1957年新潟県生まれ。 『うる星やつら』 で小学館漫画賞少年部門、星雲賞コミック部門、 『人魚の森』 で 星雲賞コミック部門、 『犬夜叉』 で小学館漫画賞少年部門受賞。 主な作品に 『めぞん一刻』 『らんま1/2』 など。
ドラマ化された本作 『1ポンドの福音』 。私の記憶では確か随分前のマンガだったのになんで今頃ドラマ化?と思っていたら、昨年連載が完結したそうです。全4巻だし一瞬購入するか?と迷ったのですが、某所(はどこかツッコミ不要)で読んできました。高橋留美子氏お得意のコメディですね。で結論として 『買わないで良かった…』 でございますが、初出が80年代後半ということでコメディのノリもその時代を反映しており、そういう意味では懐かしい面白さがある作品でよかったです。
ドラマだとマジメ一本やりのシスターアンジェラですが、原作では結構面白い女の子だったりします。スチャラカでどうしようもないボクサー畑中ですが、シスターだけは大好き。そんな彼を放っておけないシスター。と設定は完璧いつものパターン、めぞん一刻を思い出しました。でもこのパターンがやっぱり高橋留美子、ということでよいのではないでしょうか。
それにしてもここまで放っておいて(?)、どうして去年になって突然連載が再開し最終回描いたのかな…やっぱり出版社の要望→在庫処分!とか。
評価:(5つ満点)