096. 本という存在に対して、文句はありますか?
文句は、ない。ただ値段を全般的に安くしてくれればもっと買うんだけど、それも難しいと思う。
097. 心に残っている言葉・名台詞は?(原典も明記してください)
■ おとうとよ 人生は汽車に似ているね
(寺山修司 『もしも住む家がなかったら』 )
■ ほんとに愛しはじめたときにだけ 淋しさが訪れるのです
(寺山修司 『ダイヤモンド Diamond』 )
■ 知恵のみが もたらせる詩を 書きためて 暖かきかな 林檎の空箱
(寺山修司 『短歌集』 )
■ ぼくらは朝を リレーするのだ
(谷川俊太郎 『朝のリレー』 )
■ あなたの手のぬくみ いのちということ
(谷川俊太郎 『生きる』)
■ わたしたちは結局、みな孤独である。ひとりでいるということを、もう一度はじめから学びなおさなくてはならない。
(アン・モロー・リンドバーグ 『海からの贈りもの』)
098. あなたにとって、本とおなじくらい蠱惑的なものは何ですか。
それはここには書けません(笑)。『自制心を失う』 ほどのことって一体…。
※蠱惑(こわく):〔神秘的な美しさなどで〕人の心を引きつけ、自制心を失わせること。(三省堂 新明解国語辞典 より)
099. 出版業界にひとことどうぞ。
厳しい世情ですが、作家を育てること、良い本を出版する使命を忘れずに頑張ってください。装丁にもっと工夫すれば売れるかもしれないのでよいデザイナーをどんどん活用してください。
100. つまるところ、あなたにとって本とは。
本は確かに 『物』 ではあるが、そこに書かれている 『文章・言葉』 には、生涯忘れ得ないものもある。こうした文章に出逢うこと、そしてそれを噛み締めることができるということが、何よりも幸福だと思う。
つまるところ、本という存在は読めば終わりという娯楽性だけではなく、読み終わったその時点から私の中に言葉が宿り、私自身の財産となり積み重なっていくものだと信じている。