万里子は家業を継ぐ気のない兄の代わりに政略結婚をさせられる。しかしここで少女マンガなのは、その相手が幼い万里子を一目見たときから恋焦がれていること、それってどうして?(笑)ヨーロッパへ渡り成功した後横浜へ帰国した新進気鋭の貿易商、竜介はひたすら万里子に惚れている。そこがちょっとおかしいのだけど…。
画家を目指す兄をパリへ送り出し、竜介とケンカした挙句叶屋は自分1人で立て直して見せると大見得を張る万里子。商売のイロハも知らなかった万里子が持ち前の機転で父の残した輸入品を見事に加工し売り出す様子、かなりできすぎな部分はあるものの読んでいて面白い。自分の才覚で商売をし、そのことに喜びを見出す万里子。
そしてその万里子に更に惚れ直す竜介。
一方卯野は私塾を卒業後居留地内でアメリカ人医師の手伝いをしながら英語を学び、看護婦という職業があることを知る。かつての初恋の人、森太郎が目指す医師の手伝いができればと願う卯野。
ふとしたことから渡米することとなり、森太郎を訪ねるが、彼は大学を中途で飛び出し、日本人への差別により医者にかかることもできず苦しんでいるサンフランシスコの日本人移民たちを救うため奔走しているという話だった。その噂を頼りに卯野は単身アメリカ大陸を横切る、ただ森太郎に会いたい一心で。
森太郎と再会し、天然痘のワクチンを苦労して入手した2人、森太郎は大学へ戻り医師資格を取得、無事帰国となる。
まぁこの波乱万丈な設定も面白いが、それぞれ違った性格を持つ2人が上手い具合にそれぞれの居場所を自分で見つけていく、というテーマが良いのではないかと思う。
何よりも明治時代という時代も面白い、江戸の時代が終わり一気に外国文化が流入し、人々は正に 『文明開化』 の時代を生きていた。その時代に逞しく、愛を貫いて生きた2人。
うーん、少女マンガ(笑)。でも大和和紀ではやっぱり一番のお気に入りですね。
『ニューヨーク小町』 も好きだけど、やっぱり 『ヨコハマ物語』 かな。