うち捨てられた庭を、子ども達を美しい花園へと甦らせたものとは何だったのか。作家 梨木香歩が庭とともに逞しく甦る生命のプロセスに寄り添う。バーネットの名作 『秘密の花園』 の世界を案内した解説書。
(梨木香歩)1959年生まれ。児童文学者のボーエンに師事。 『西の魔女が死んだ』 で日本児童文学者協会新人賞、『裏庭』 で児童文学ファンタジー大賞を受賞。主な著書に『からくりからくさ』 『エンジェルエンジェルエンジェル』 『村田エフェンディ滞土録』 『春になったら苺を摘みに』 、絵本に 『ペンキや』 『マジョモリ』 『ワニ』 『蟹塚縁起』 など。
小公女、小公子でお馴染みのバーネット。子ども向け簡略版ではなく原文に近い翻訳の 『秘密の花園』 について、児童文学作家でもある梨木香歩が解説。基本的に梨木氏の書いたものは何でも読みたいという理由だけで、元々文学の解説書などはほとんど読む機会もないのですが、梨木氏の 『秘密の花園』 への深い愛情が感じられて一気に読めました。
『ここはこう解釈せよ』 という指南書ではなく 『ここで私はこう感じた』 というむしろブックレビューに近い内容で、梨木氏の作品への、登場人物への愛情が詰まった一冊です。好きな作家の好きな作品に対する思い入れを聞くのは楽しいですね。梨木さんにはこうした解説をもっと書いて欲しいし、他の作家による解説も読んでみたくなりました。何よりこうしたいわゆる古典文学を読んでみたいと思わせる、作品の持つ魅力が気になりますね。オススメの文学解説書がありましたら教えて下さいね。
評価:(5つ満点)