ご近所の噂話にビクリとし警官の姿を見てはドキリとする。訳あって下町、谷中で新生活を始めた芭子と綾香。一回りも違う2人の関係は、そして2人が陽のあたる場所を堂々と歩く日は来るのだろうか。
(乃南アサ)のなみあさ。1960年東京都生まれ。早稲田大学中退。広告代理店勤務等を経て作家活動に入る。『幸福な朝食』 で日本推理サスペンス大賞優秀作、『凍える牙』 で直木賞を受賞。主な著書に 『団欒』 『あなた』 など。
(収録作品)おなじ釜の飯/ここで会ったが/唇さむし/すてる神あれば
yomyom掲載の
『すてる神』 改題
『すてる神あれば』 が収録された、芭子と綾香の連作短編集。芭子と綾香は
【同じ釜の飯】 を食べ、同じ雑居房で暮らした仲。出所後も肩を寄せ合い近所で暮らす2人だが、周囲に過去を決して気取られぬよう細心の注意を払っている芭子に対し、能天気な綾香。2人はいいコンビです。
芭子も綾香も人との関わりが苦手。芭子は必要以上に警戒してしまうが逆に綾香は必要以上に警戒心がなさすぎる(笑)。一目ぼれもしょっちゅうだし考えられないような詐欺に引っかかってしまったり。でもそんな2人が不器用さを補い合いながら共に支えあっている、ささやかな幸せな日々がいいですね。
芭子の近所の大石老人がいい味出してます。続巻に期待。
評価:




(5つ満点)
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