ニューヨークでは窓ふきチャンピオン、イギリスではサーカス団で大活躍。バグダッドでは大泥棒を捕まえて、エアーズロックではブロントサウルスとご対面。ほらのうまいお父さんが吹きまくるゆかいな14のラッパばなし。1977年刊の再刊。
(瀬田貞二)1916年東京都生まれ。1979年没。東京帝国大学卒業。児童文学の翻訳、創作、評論や 『児童百科事典』 の企画・編集などに取り組み日本の児童文学界に多大な功績を遺す。児童書の著書多数。
(収録作品)富士山の鳥よせ/ミスタ・レッドクロス/ふりこ一発/ビーバーの谷/パンパのラッパ/きじの花たば/名前をかえた山/指輪をもらった時計像/アフリカのたいこ/バグダッドのおおどろぼう/インドの夢うらない/大きい石と大きいとかげ/プアプアのくじら舟/海賊たいじ
小学生の頃、うちにこの本のハードカバーがありました。ラッパ、というのはほら話のことです。ほら吹き父さんが毎晩子ども達に話して聞かせる若い頃の武勇伝、という設定なのですが、私はこの本が大好きで何度も読み返してました。大人になってから瀬田貞二の作品で、しかも挿画は堀内誠一、という2大作家による作品と知ったのと同時に絶版になっていることを知り、残念に思っていたのですが。
福音館は文庫版として復刻してくれました、それが数年前。それを改めて第2王子に読んで聞かせたというわけです。文庫版ですが挿画も当時のカラーのまま、贅沢な文庫です。昭和の作品なのでところどころ表現も古いのですが、第2王子も私も十分に楽しみました。
収録作品↑にある通り、お父さんは若い頃船に乗りまずはハワイを目指します。あちこちで大活躍、『ふりこ一発』 は表紙絵の通り、当時世界で一番高いビル、エンパイヤ・ステート・ビルで窓ふき大会に出場、見事優勝を勝ち取る!というお話。とまぁほら話が続くのですが、人を愉快にさせるほら話なら、大歓迎ではないでしょうか。第2王子も 『ホントの話?』 とは決して聞きませんでした、子どもはこういう世界観を自然と理解するものなのでしょうね、かつて子どもだった頃の私がそうだったように。
短いお話が14編、夜寝る前に読むのに実にちょうどいいです。結構2話読まされましたが(笑)。昭和の時代の正しい日本語も好ましいです。
評価:





(5つ満点)
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