テルミーは流しの仕立て屋。母も祖母もそうして生きてきた。裁縫道具と身一つで依頼主の家に間借りし、注文された衣装を仕立てる。頼るものは自分の腕一つだけ、何もかも自分だけで折り合いをつけてきたテルミーが、初めて恋に落ちる。初めて自分だけではままならない現実に直面したテルミーの、選んだ生き方。
(栗田有起)1972年長崎県生まれ。名古屋外国語大学卒業。『ハミザベス』 ですばる文学賞を受賞。
(収録作品)お縫い子テルミー/ABARE-DAICO
前々から気になっていた本作、やっと読みました。何で気になってたんだろう…
『流しの仕立て屋』 って何?から始まり、テルミーの孤独に耐える力、それでも人のぬくもりを求めてしまう本能に近いもの、などを率直に描いたところに好感が持てました。
テルミーといいテルミーが惚れてしまうゲイのシナイちゃんといい、同じくシナイちゃんを好きな信田さんといい、破天荒な生き方をしている人しか出てこないのですが、テルミーという生まれつき破天荒な人の視点で描かれているせいか、違和感を感じさせないのがスゴイですね。
いつも人のためだけに服を作ってきたテルミーが、自分のための服の生地を買い、自分のためだけに縫うラストシーンが良かったです。
評価:



(ABARE-DAICO未読)
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