どうしたら自分が 『生きられる場所』 をみつけていくことができるのか。『世界』 と 『君』 の間に生じる亀裂に対して君自身のかけがえのないプライドを保ちつづけながらひとり向き合っていく方法を提案する。理論社のYA向け新書よりみちパン!セ シリーズ。
(伏見憲明)1963年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。『魔女の息子』 で文芸賞受賞。著書に 『男子のための恋愛検定 よりみちパン!セ』 など。
本書に出会って一番の収穫は、以下の一文に尽きます。
『君は世界がなければ生きられないが、世界は君がいなくても続いていく。』
この事実に気づいてしまった時の、感じるどうしようもない孤独。しかし人はその孤独をまず知らなければ生きていくことすらできないのだ。という著者の理論は、実に潔く、清々しいです。
本書はマイノリティの在り方について言及しています。よりみちパン!セ シリーズのどの本もそうであるようにYAだけに読ませるにはもったいない内容。自分が常にマイノリティであることを念頭に置き、考えの違う人々を排除しないことについて、その理由を切々と説いています。
映画
『X-メン』 や
『シックスセンス』 などを題材にしている箇所はなかなか興味深かったですが、できたらもうちょっと突っ込んた理論が欲しかったなぁ、というのが読了直後の感想。その後著者 伏見氏の他の著書を知り、氏自身の立場が現代社会ではまだマイノリティであることを知りました。その氏がYA向けに説いてくれていることもやはり、貴重な作品だと言えるのではないでしょうか。
評価:



(5つ満点)
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