通り魔や傷害を繰り返す翔人は逃亡途中に成り行きで助けた老婆の家に滞在、野良仕事を手伝ううちに村に馴染んでいくが…。現代の若者の 『絶望感』を細やかな心理描写で描く。 『小説トリッパー』 連載を単行本化。
(乃南アサ)のなみあさ。1960年東京都生まれ。早稲田大学中退。広告代理店勤務等を経て作家活動に入る。『幸福な朝食』 で日本推理サスペンス大賞優秀作、『凍える牙』 で直木賞を受賞。主な著書に 『団欒』 『あなた』 など。
感涙。と紹介されたので期待大で読みましたが私は泣きませんでした。でも私が泣かなかったのは、やはり同じ母親であるおスマ嬢の立場から物語を読んだからかも。
何に対しても自暴自棄で通り魔や傷害事件を繰り返してきた翔人が改心していく展開はやはり2時間ドラマ的だけど、こういうラストは気持ちがいいなぁ。シゲじいがとても存在感あり、ベスト。それにしても乃南氏は方言にも地方の風土にも非常に詳しく、やはり作家はこうでなくては、と思わせます。トリッパーっぽいと言えばそれっぽいとも言えます。
乃南作品をこれまで数冊読みましたが、結構ヤングアダルトにも適な感じです。YAの皆さん、乃南アサをどんどん読みましょう!
評価:(5つ満点)