雑貨と珈琲豆の店 小蔵屋を営む女主人 お草は最近くさくさしている。近所に和雑貨店つづらが開店し露骨な営業妨害を仕掛けてくるからだ。しかもつづら出店の裏には詐欺まがいの不動産売買の噂があり草はほうっておけなくなるが。『紅雲町ものがたり』 続編。
(吉永南央)1964年埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部卒業。 『紅雲町のお草』 でオール讀物推理小説新人賞を受賞。主な著書に 『オリーブ』 『誘う森』 『Fの記憶』 。
(収録作品)如月の人形/卯月に飛んで/水無月、揺れる緑の/葉月の雪の下/神無月の声/師走、その日まで
私の好きな吉永南央の紅雲町シリーズ第二弾。お草さんやお店の久実ちゃん、長年の友人の由紀乃さんと登場人物はそのままに、つづらにライバル店が登場。そこかしこに攻撃を仕掛けてくるのですが、結局は商いは正統派が勝つ、という話。
作業所で作っているろうそくをつづらで売ってくれないか、とボランティアの人がやってきたが…という話が一番良かった。そのままじゃ特徴もないろうそくを、お草さんの機転でこちらもまたそのままでは売り物にならない器と組合せ、見事な夏のろうそくを演出し売り出すところなど、お見事でした。
でも後は全般に妨害ばかり仕掛けてくるつづらとの攻防がメインで、ちょっとゲッソリ来ちゃうかな。そんな中でのお草さん、久実ちゃん、宅急便屋さんのいつもの関係といつもの会話には、ホッとさせられました。
評価:




(5つ満点)
PR