たくさんの買い物客がうごめく。みんな、あんなに生きている。あたしたちはスーパーマーケットの白くあかるい照明にひとしく照らされている。誰かのいい日にともしびを。北海道のスーパーマーケットを舞台に、それぞれの人生の1日を描いた連作短編集。
(朝倉かすみ)1960年北海道小樽市生まれ。北海道武蔵女子短期大学卒業。 『コマドリさんのこと』で北海道新聞文学賞、『肝、焼ける』 で小説現代新人賞、『田村はまだか』 で吉川英治文学新人賞を受賞。
連作ってただ舞台を同じにしたり現象をつなげればいいものでなく、前章のあれがこことつながっていたなんて!というひっそりとした意外性がないとつまらないし意味がないと思われるのですがどうでしょうか。本作は 『ともしびマーケット』 というスーパーマーケットを舞台にそこに集う人々をそれぞれクローズアップした作品集になっているのですが、それぞれのつながりがあまりにも見え見え過ぎて、門田新子の章などいい感じのものもあるのに段々と陳腐になっていき終章なんて…どうしてわざわざラストに短編に出場した人々をオールスター集合にする必要性があったのか?となってしまっていて、逆効果な感じがしてしまいました。
花見の章もなぜこの時期に花見に行くのか、そのおかしみが作者の独り善がりにしかなっておらず、読んでいてつまらなくて辛い。せっかくの単行本化にあたりもっともっと改稿したら良かったのに。正直、舞台である 『ともしびマーケット』 の存在感がほとんどないです。別にこれならともしびマーケットじゃなくてどこでもいいかんじ。しかも舞台が札幌なんて!1、2章まで東京大田区とかその辺かと思ってたので中盤から大層ビックリしました。それほど、札幌という雰囲気も土地勘も情緒も全く出ていないように感じてしまった…。作者は北海道出身なのに、なんで??
評価:(酷評ごめんなさい)